第3話 戦争と人身売買と風俗のヤミ
『舞さん、また来るね』『よろしくお願いします。待ってるね。』
マイという源氏名の嬢は営業スマイルで見送ってくれるが、どこか切ない気持ちになる。
瞳の奥には悲しみがある。
龍吾は、仕事のストレスの捌け口を風俗に求める事になった。
収入が増えれば増えるほど、仕事のストレスは増え、
酒、タバコ、キャバクラ、風俗に溺れるようになって行く。
いわゆる『飲む、打つ、買う』にハマっていく。
そして、行為が終わった後、いろいろな話をしていく中で、好きで働くのではなく、こどもを預けられずにやむを得ず、短期間で収入が得られる、風俗という職場で働かざるを得ないシングルマザー、親が失業して学費を払えない学生など、本当に困って働く若い女性が多いという、社会の闇を感じるようになった。
身近な闇を見て見ぬ振りをして、耳触りの良い不幸にはお金が集まるようにも感じ、心が落ち着かない。
そして何故だか従軍慰安婦のニュースがやたら目に飛び込むようになり、
しばしば、中東の戦闘地域で戦う夢を見る。
いくつかの世界線が交錯する。
日本は、戦争を経験したからこそ武力を捨て、戦わない選択をした。
しかし、本当の平和が訪れたわけではなく、戦争は姿を変え、いじめや暴力、自殺や難病、感染症という形で、分散して世に現れ出るようになる。
一般的には『努力の先には栄光がある』と考える。
そして、奴隷解放の歴史は、そんな心からの解放の歴史でもある。
『何かを犠牲にしないと幸せは得られない』
そんな、まるで当たり前であるかのように錯覚する、根底にある『条件付きの愛』で満たされた集合意識というものが変容すれば、
生け贄、奴隷、人身売買はもちろん、犯罪すらも無くなる。
アメリカ独立戦争とは、人身売買、つまり人間を取引の対象とした、生け贄を良しとする悪魔との戦争。悪魔支配からの独立だった。
『人民の人民による、人民のための政治』とは、それまでが、
『悪魔の悪魔による、悪魔のための政治』が敷かれていたという事だと言える。
【何かをしなければ、幸せは訪れない】と言うような、【条件付きの愛】は
確かに成長を促す。
すべては成長の為。そして、成長すれば、生まれ出る時が必ずくる。
成長の先には生まれ出るものが必ずあるのだ。
しかし生まれる前には産道という、強い圧力、困難が伴う。
その時代の節目に戦争や地震、災害という形で圧が加わる事になる。
~過越の祭り~
自分の家のこどもが亡くなる事から助けたければ、羊を殺めて食べなさいという
『過越の祭り』という儀式がある。
そして、その最後にはキリスト自らが生け贄の子羊となり、その身を差し出す事になる。
誰かが亡くなるから、自分が生きている事ができる。
そして、自分が死ぬことで、誰かを助けている。
すべてはそのように、密接に関連していた。
食べられるものがいて、食べるものがいる。
しかしその正体とは、自己否定から来る不足感。
まだ足りない、何かを得ないと、何かされるという不安感。
『自分が満たされている』
ただただ、それだけでいいものを、不足感から、自分よりも弱いものを犠牲にし、そこから何かを得ようとする。
人と比較して優越感を得ようとする。
そして、自分も誰かの犠牲になる事を厭わない。
つまり悪魔支配の根本とは、
『自己否定から来る不足感』
不足感が募り、自分への信頼ではなく、他への渇望、お金や地位、物欲や他者批判にエネルギーを注ぐ。
その結果、産み出したものが悪魔の正体であったのだ。
『自己否定から自己受容の時代へ』今まさに変革の時。
産道を通り、生まれ出る。
自己否定感の強い悪魔を叩いては逆効果である。
自身の弱い部分を認め、不完全であることを受容し、成長に向けて一歩踏み出せば戦争は終わる。
そんな意味では、人類解放のフィナーレは『赦しと受容』がテーマであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます