第15話 ラブレター
「ただいまー!お母さん、付き合うって何すればいいのー?」
小学生の次男が玄関を開けるなり開口一番に言った言葉です。
(次男は高学年です)
えっ?なに?どうした?と、びっくりです。話をよく聞くと、学校帰りにクラスの女の子からお手紙をもらったそうです。
恥ずかしがることもなく、私に話してくるあたりは現代の子なんだなぁとつくづく思ってしまいます。『友だち親子』なんて言葉も聞いたりしますが、恋愛に関してはオープンな家庭が多いように思います。
まぁ小学生の恋を恋愛と言っていいのか分からないのですが、うちの次男もそういう年代になってきたのかなぁと複雑な気持ちになりました。私も小学生の頃にラブレターをもらった経験がありますが、親に言うことなんてできませんでした。特に父にはね。
やはりうちも友だち親子なのか?と次男に甘い私は普段の生活を振り返りました。確かに、一緒にゲームをしたりYouTubeを見たりと、子どもとの距離や感覚が近いのかもしれません。それに昔のように厳格な父・それに従う母というような家庭の構図もうちには存在しません。
それはさておき、次男のラブレターの話に戻りますが手紙には「○○くんのことが大好きです。私と付き合ってください」と、まだあどけなさが残る文字で書かれていました。なんてかわいいんだろう!ちょっとキュンっとしちゃいます(笑)
その日の夜は少年団の夜練があったのですが、次男は手紙をもらうところを何人かに見られていたらしく、かなりいじられていました。監督やコーチまでも次男のラブレターの話で盛り上がっています。
きっと直ぐに振られちゃうんだろうな……と思う私がいました。
一週間が経ちました。その後ラブレターをもらった子とはどうなっているのだろう?別の女の子と公園に遊びに行ったけど大丈夫かなぁ?と余計な心配ばかりしてしまいます。
そして、とうとう次男に聞いてしまいました。
「○○ちゃんとはどうなった?」
すると次男はこう答えたのです。
「俺には付き合うとかは早過ぎるから、もっと大きくなってイケメンになったら付き合おうって今日言ったよ」
えっ、そうなの?なんかもったいなくない?振られるまで付き合ってみたらよかったのに。そんな私の想いをよそ眼に次男は清々しい顔をしています。
ふ~ん、そんなことを自分で考えて言ったのかぁ。私は予想もしない展開にびっくりしました。うちも友だち親子なのかなぁと思っていましたが、何もかも話すわけじゃないんだね次男くん!
でもさ、イケメンになれないかもしれないよ!っと言いたい衝動をグッとこらえ、次男のこれからを見届けようと思いました。
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