第6話
狐は、もう、いない。彼女と繋がっているうちに、どこかで見た。でも、それよりも。彼女に対する、なんとなくもやもやした気分をぶつけるほうに力を注いでしまっている。
彼女。彼女の見せる、やさしい目付き。その、まなざし。それが、なにか、具体的にどうとは言えないけど、もやもやする。心に刺さる。
「あっ」
彼女が。何かに気付いたような素振り。
狐も、もういない。思い出したのだろうか。なら、もう終わりか。
「思い出したか、帰る場所を」
制服。たぶん、乾いただろう。
「帰れよ。元いた場所に。今日のことは忘れて」
「いや。なに言ってるの。ないよ。わたし。帰る場所」
まだ、思い出してないだけだろうが。
「ちがうの」
「何が?」
「あのね」
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