5
2回目。
はっきりと。
分かることがあった。
できれば、分かりたくなかったけど。
このひと。しのうとしている。それを、わたしにぶつけて。最後に。しのうとしてるみたい。まるで、本当に力尽きたみたいに。もう、最後の。
「ねえ」
あ。からだうごかない。
「ねえってば」
「なに?」
「しにたいの?」
「あ?」
彼の心の。
闇?
「死にたい、か。そうだな。たしかに、まあ、死にたいかもな。こうやって未成年相手にしてるぐらいだし」
「成人してますが?」
「制服じゃん」
指差された方向に、わたしの私服。彼が綺麗にお洗濯して、ハンガーで乾かされてる。
「私服だけど」
「コスプレか?」
「し、ふ、く。私服」
また何か彼が言おうとしたので、遮っていく。出逢って繋がってから、半日。3回戦。ラウンド数は不明。
がんばってるけど、がんばってほしくない。彼に、しんでほしくない。
でも、たぶん。しなないでっていう言葉は、いちばん彼を傷つけるから。だから、しなないでに代わる言葉を、探してる。見つからないけど。見つけたい。彼がしぬ前に。間に合わせなきゃ。
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