第2話
人ではないものを相手にしているぶん、消耗することが多かった。心身ともに、万全ではない状態が続く。しかし、自分の能力は代えがきかない。というより、自分が動いたぶんだけ周りに急速をもたらすことができる。だから、多少壊れても続けるつもりだった。
『そっちに行った。兎みたいなやつだ。狐のくせに』
人の心を食うやつ。早めに捕まえないと、誰か食われる。
『見えるはずだ。今。ここ』
「いや。ここからでは見えない」
『お前の能力なら、見ただけで倒せるのに』
「ああ。分かってるけど、見えないものは見えないとしか」
一撃必殺の、目を持っている。人ではないものを見るだけで、ほぼ確実に倒せる。倒せないのは、物陰とか人に隠れたやつだけ。本体さえ見れば、一撃。
「ん」
見失ったというか、見えない。交差点の先。女性が走ってくる。スカートと、制服らしき服装。いや分からん。外見だけで判断するのは危険。いつも目を使っている関係上、目以外で判断することが多かった。目は、情報器官ではなく、武器。だから、それ以外で情報を取り込み思考する。
「どうしました?」
女に声をかける。
「ひとめぼれした」
女の影。
狐。
「見つけた」
『よし。そのまま』
「待て。ひとにくっついた。あとは俺がやる」
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