Eyes.

春嵐

1

 何か、特別な天啓があったわけでもない。いつも通り。忘れ去られていく、日常。そのひとつだと、思ってた。

 交差点の先。

 車。過ぎ去った先に。あなたがいた。


「いや。ここからでは見えない。ああ。分かってるけど、見えないものは見えないとしか」


 何か、話している。通信だろうか。


「ん」


 あなたが、わたしに気付く。


「どうしました?」


「ひとめぼれした」


 あなたが、通信を気にするような素振り。


「見つけた」


 あなたも。わたしを見つけてくれた。

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