第6話
走って走って…
階段を降り下駄箱に着いた。
ローファーを取り出した時に肩を掴まれる。
「待ってくれ。話を…」
「ごめんなさい。遥人がそんなに嫌な思いをしてる事に気づいてなかったよ。」
話を遮り、頭を下げる。
「はー。あのな。その…。
俺が好きなのはお前だけだよ。」
「だって、嫌だって言ってたじゃん。
それに、ひなが好きなんでしょ。
かわいいし、優しいし。」
「ちげえよ。」
「えっ?」
「嫌っていうのはなあ、好きなやつと2人だぞ?
俺ばっかりどきどきしてちょっとのことで喜んだり。
なのにお前、俺のこと全然男として見てないし。
これ以上好きになったら、今の関係まで壊れそうで……
だから嫌だったんだよ」
「ばかっ。ずっと、ずっと好きだったんだけど。
私だっていっつもどきどきして、でもだめって。
諦めたくても諦められなくて。
そんなの…本当なの?私なんかでいいの?」
「お前じゃないと嫌だよ。」
私は遥人と両想いだった事をまだ受け止められない。
涙が溢れてくる。
さっきの申し訳なさと悲しさの涙ではない。
今までに経験のしたことの無い幸せの涙だ。
その時、ひなが走って来て、私に抱きついて来た。
「唯ーー、良かったねー。ずっと、だいしゅきだったもんねー。」
「うー、ひなー、ありがとう。」
「後でLINAしてねー。
じゃ、後は若いお二人でごゆっくりー」
そう言って、帰っていく。
いつも、相談にのってくれてありがと。
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