第5話

はぁー

今は放課後。

だけど、私は掃除当番だった。

しかも、じゃんけんに負けてゴミ捨てに行かないといけない。

じめじめ暑い7月の空の下、ゴミステーションまで運び終え、教室に戻るだけでもめんどくさい。

うぇー。汗かいてきた。最悪。

重い体を引きずりながらひなが一緒に帰るために待ってくれてる教室に戻る。


「……の事をどう思ってるの?」


怒ったような声が聞こえてくる。

そっと、教室を覗いてみると机に手をついて、詰め寄ってるひなが見える。

その相手は……

遥人!?

遥人は椅子に座って机を挟んでひなと向かい合ってる。


「今でも好きだ。」


遥人はひなの方が好きだったんだ…


「じゃあ、なんでよ!」


「俺の親は二人とも忙しくて家にいないんだな。それで、ずっと唯の家で飯を食ったり、一緒に勉強とかゲームしててほんとに楽しかった。

でも、今は唯と2人で話したり、一緒にいるのが嫌なんだよ…。」


遥人は私と2人でいるの嫌だったんだ…

ごめんなさい。

ずっと近くにいて。

嫌って事に気づいてなくてごめんなさい。


「遥人!今までごめんねー。ひなの事好きって知らなかったーー!

今まで、色々付き合わせてごめんねー

お幸せに!!」


私は教室に入り、なるべく軽い調子で言った。

自分のバックをつかんで走る。

涙で目の前がにじむ。



選ばれるのは私じゃないって分かってたのに。


あー、やっぱり私じゃだめかあ。




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