周囲から陰キャとバカにされる俺、実は全国制覇を成し遂げた不良グループの元総長~引退しても何かと不良たちに絡まれるが推しのVtuberの配信があるから邪魔をするなら容赦しねぇ。そこんとこ夜露死苦ゥ!!~
第77話 その陰キャ、陽キャギャルとデートする ③
第77話 その陰キャ、陽キャギャルとデートする ③
「それで、デートはいいけどどこに行くんだ? 正直、こういうのは経験がないから勝手が分からないぞ」
「え、そうなの?」
迅のカミングアウトに、真白は目を輝かせる。
「なんだよその嬉しそうな顔は……?」
「い、いや〜別に〜」
下手くそな口笛で真白は誤魔化した。
へ、へ〜。迅って有名な不良みたいだから女遊びとか、色々経験豊富かと思ってたけど違うんだ……。
て、てことはつまり……ウチが迅のはじめての相手……。
「ふへへ」
「なんだ、急に妙な笑い声出して」
「っ!? い、いやなんでもない! そ、そうかぁ迅デートはじめてなんだぁ……。そ、それじゃあウチがしっかりエスコートしないとね!」
「あぁ、頼んだ」
特に断る理由もなく、迅は真白の申し出を受け入れた。
よし! ここでウチがしっかりリードして、惚れさせてやる!
真白はグッと拳を握り、そう意気込んだ。
◇
「ほら、これとか迅に似合うよ」
「そうか?」
「うん、読モのウチが言うんだから間違いない! 着てみて!」
「お、おう」
~~試着中~~
「どうだ?」
「……」
黒のジャケットを基調とした迅の姿に、真白は言葉を失う。
「どうした? やっぱり似合ってないか?」
「いや……ちょっと他のも試させて」
静かにそう言うと、真白のコーディネートショーが始まった。
迅は彼女の着せ替え人形のように、次々と着替えさせられる。
だが、どれを見ても当の真白は無言。
口を手で覆い、彼女はこう思っていた。
え、全部サイコー過ぎん?
なになになに? どれもだいしゅきしゅぎるんだが?
元々ない
髪セットしてないしメイクもなんもしてないのに素のパワーでこのカッコよさ!? こんなんどの服が良いかなんて選べなくない!?
てかこんななんでも似合う人この世に存在したん!? いや目の前にいるし!!
ちょ、マジでしんどい……!! 無理寄りの無理!! マジでだいしゅき過ぎる……!! 迅だいしゅち!!
彼女が脳内ではお花畑を領域展開しているなど露知らず、迅は首を傾げる。
やっぱり、反応がないってことはどれも似合ってないってことか。
どうやら僕には服を着こなす
全くそんなことはない、むしろそこら辺の男性モデル顔負けの着こなしを見せる迅だが、真白の反応から彼はそう解釈した。
くっ、ダメだ……人気モデルのウチでもこれは選べない……!!
い、一体どうすれば……はっ!?
その時だっだ。
真白に天啓が下る。
こ、これだぁぁぁぁ!!
内心で叫ぶ真白は、即座に行動に移った。
「そ、そうだ! いっそのことシンプルに……こういうのでどう!?」
そう言って真白が手にしたのは、近くに掛けてあったTシャツだった。
「え、Tシャツ? それなら今日も着てきてるぞ?」
「甘いよ迅! Tシャツは奥が深いの! 全てのファッションの基礎なの! それに一口にTシャツって言ってもブランドごとに材質やデザインに特徴があって……!」
「お、おう……そうなのか」
「とにかく着てみて!」
真白の圧に負けるように、迅はTシャツを試着する。
「どうだ?」
「いいね、それ買おう」
「早いな!?さっきまでうんともすんとも言わなかったのに!?」
「いいからいいから。今日はそれ着てデートしてね」
「はぁ、分かったよ」
流されるまま、迅はTシャツを会計へと持って行く。
計画通り……!!
どこぞの新世界の神のような笑みを浮かべた真白は、次の行動に出た。
◇
「あれ、真白のやつどこ行った?」
購入したTシャツを着た迅はキョロキョロとあたりを見回す。
「迅」
「ん?」
その直後、後方から真白の声が聞こえた迅は振り返る。
「……」
「……」
視界に入った真白に、思わず迅は言葉を失う。
無理もない。彼女は迅と同じTシャツを購入し、着ていたのだから。
「……なんでお前も同じの着てるんだ?」
「い、いやぁ。ウチもこのTシャツのデザインいいなぁって思ったから!」
「けどそれ、男用じゃ……」
「いいの! 女子でもダボっと着たい時は全然メンズ着るし。大事なのはコーデとの
とても熱のこもった力説。
言っていることは恐らく正しいのだが、どこか言い訳がましく聞こえるのは気のせいだろうか。
そんなことを考える迅だが、真白に手を掴まれることで、すぐにその思考を放棄する。
「さ、細かいことはいいから行こっ」
「あ、あぁ」
こうして、俺は真白と手を繋いだまま次の場所へ向かった。
ふふふ……ペアルックで手繋ぎ!!
こんなんもんウチらラブラブカップルでしょ!!
2.映画
次に向かった場所は映画館。
デートの定番スポットを調べたところ、とりあえず映画行っとけばなんとかなるという情報を得た真白は実直にそれを実行した。
「で、どれを観るんだ?」
「決めてないよ。迅と一緒に観たいの選ぼうと思って」
真白が調べたところによると、観る映画は二人で選んだ方がいいと書いてあった。一人の主観で勝手に選ぶよりも、恋人と一緒に観たいものを選ぶ方が親密度が上がるとのことだった。
「とりあえずウチが観たいのはこれかな」
そう言って真白は今一番人気のアクション大作映画を指し示す。
あまり映画を観ない真白にとって、選ぶ基準は映画の『人気度』だった。
「で、迅はどれがいい?」
「そうだな……それじゃあ、これかな」
「え……?」
迅のチョイスに、真白は意外そうな声を上げる。
彼が指差したのは、あまり映画を観ない真白でも分かるほどに地雷臭漂うB級映画だった。
「もっと人気がありそうなの選ぶと思った」
「あー、いやなんかちょっと懐かしくてな」
「懐かしい?」
「あぁ。実家にいた時、母親が家でよくこういう映画観ててな。別に好きじゃなかったが、どうにもクセになる魅力? っていうのか。そういうのがあった」
「へー……」
映画のポスターをどこか微笑ましそうに見る迅。
彼の新しい一面を知った真白は、心が弾んだ。
「じゃ、これ観よ」
「え? でもお前が観たいのって」
「いいの。迅の話聞いてたらこっち観たくなったから」
「そ、そうか」
そうして、迅と真白は人が全く入っていないB級映画を鑑賞した。
内容としては、100人鑑賞すれば98人はつまらないと言うレベルの映画。
しかし、
「なんか、クセになる」
「だろ?」
迅と真白は、見事に残りの2人に入っていた。
◆◆◆
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