周囲から陰キャとバカにされる俺、実は全国制覇を成し遂げた不良グループの元総長~引退しても何かと不良たちに絡まれるが推しのVtuberの配信があるから邪魔をするなら容赦しねぇ。そこんとこ夜露死苦ゥ!!~
第22話 その陰キャ、またもや不良少女と再会する
第22話 その陰キャ、またもや不良少女と再会する
迅が真白の胸を無意識に揉んでいる最中、メイド喫茶に派手な乱入を決めた二人は睨み合い、対峙していた。
「あー、急に攻撃かましてきやがってよお……。頭がガンガン響くじゃねぇかよぉ……なぁ!?」
「はっ! 知らねぇなぁ。今の攻撃かなり弱くしたつもりなんだけどよぉ。その程度で響くってことは【
「やっすい挑発じゃねぇか。たが、いいぜ。ノッてやるよ!!」
そう言って、男の方はヌンチャクを取り出した。
対し、女はヨーヨーを構える。
「【
「【
東京で名を馳せる不良チーム、その幹部同士の対決。
一体どちらが勝利を収めるのか。
――その結果は、
パシュン。
『ぁ……』
両者の気絶で幕を下ろした。
「え、な、何故か突然倒れたでござるよあの二人。どうしたでござるか?」
「どーなってるのぉ?」
「ちょーじょー現象じゃね?」
隼太たちは目の前で起こった出来事に首を傾げる。
そんな中、僕は目にしていた。
倒れた両者、その背後にいた人間の存在を。
「全く、急ぎ過ぎだ葉子。少し冷静になれ」
「来駕よぉ。言ったよなぁ、確実に敵潰すために、下手に動くなってよぉ」
そう言って、気絶させた相手の首根っこを掴む。
『……』
そうして駆け付けた者同士、目線を向け合った。
「よぉレイナ。元気してたか?」
「黙れ
「おいおい釣れねぇな。まぁそりゃあそうか」
大那と呼ばれた男は肩をすくませ笑う。
「言っとくが、先にウチのメンバーに手ぇ出したことは微塵も許しちゃいねぇぞ。私が今
「はははっ! 知ってるよンなこと! だがまぁ一つ誤解を解くなら……そっちのメンバーを強襲したのは
「あぁ? ンな言い訳で、こっちが納得すると思ってんのか?」
「ウソだと思うんなら【常闇商会】にでも連絡して聞いてみりゃあいい。多分、そっちの嬢ちゃんは
そう言って、彼は向き直る。
「だからあえて言っとくぜ。俺らは【
「知ってるわよ。けど、東京を獲るのはアンタらじゃない。私たちよ」
「言うねぇ……。その威勢がどこまでもつか、楽しみだ」
何やら睨み合う二人。
数秒後、彼らは目線を離した。
「ま、こんなトコで眼飛ばし合ってもしゃーねぇ。ほらよ」
男の方が一枚の紙を女に投げ渡した。
女は特に驚いた様子もなく、それを受け取る。
「会談の案内だ。本当はこっちから出向いて渡す予定だったんだが、手間が省けた。具体的なトコは、そこで決めよう」
「……」
男の言葉に、女には何を言うでも無く、ただ手にした紙を握り締めた。
それを了承と受け取ったのか、男は気絶した奴を抱え直し、メイド喫茶に空いた大穴から去って行った。
次いで、女の方も気絶した奴を抱え、去って行った。
……何だったんだ……?
◇
「アァァァァァ……!! 私の、私の店がぁ!!」
破壊された壁を見て、店長は頭を抱え、叫ぶ。
「これって補填費用出るでござるか……?」
「うぅぅぅぅ……不良に壁壊されましたで通るワケ無いでしょぉ……」
「そ、そうでござるよねぇ……」
「まぁいんじゃね? ほら、普通のカフェにもあんじゃん。何だっけ、テラス席? 開放感が売りみたいな」
「あまりにも開放的過ぎるよ!?」
「えーそう? あーし結構いけると思うけどなぁ。アイとましろどう思う?」
「インスタ映えしそう!」
「マジエモい。撮るわ」
「おーいいねましろ! あーしも映る~」
「私も私も~」
心配する隼太を他所に、黛らギャル三人は先程の出来事を物ともせず写真撮影に
……ったく不良共め。やってくれたな。まぁいい、どうせ奴らとはこれっきりだ。もう関わることも無いだろう。
少し焦ったが、考えてみれば僕は今回奴らに干渉する必要は無い。だから僕は、ただの一般人としての振る舞いを継続することにした。
「し、死ぬかと思った……」
とりあえず、それっぽく安堵しておこう。
◇
「いやぁ、何だが色々あったでござるな……」
「だな」
メイド喫茶を出た後、僕たちは黛たちと別れ、帰り道を歩いていた。
「拙者、ああして不良を間近で見たのは初めてでござるよ。拙者の人生には今までもこれからも関わることの無い人種だと思っていましたが、出会いというのはあるものでござるなぁ……」
「ま、実際に関わるのは勘弁してほしいけどな」
「はは、そうでござるな。陰の者同士、これからも細々とオタ活を楽しんでいこうでござる」
「おう」
僕と隼太は意気投合するするように、互いの拳の甲を当てた。
『……』
「……」
瞬間、僕は何者かの視線を、確かに感じた。
誰だ、僕を見ている奴は? 学校の奴か?
そこまで考え、即座に僕はその考えを放棄する。
いや、視線は建物の屋上付近から向けられてる。そんな所に学校の奴がいるワケがない。加えてこの異質な感じ、僕を学校の同級生として見てる目線じゃない。
以上のことを考慮し、至りたくない結論に至る。
――この視線は、【
目的は一体なんだ? いや、そんなことを考えている場合じゃない。
このままではマズい。僕がここにいることが広められれば、一環の終わりだ。それに、隼太にも危険が及ぶ可能性がある。
……そうなる前に、僕は奴と
『……』
が、遅かった。
ソイツは……僕たちの唐突に僕たちの目の前に現れた。
上空から感じられた視線は、今目の前にある。
「む? 何でござるかあの少女は……?」
現れた少女に、隼太は訝し気な目を向ける。
無理も無い、少女は頭に紙袋を被っていたのである。
くっ……マジか。どうする、このままじゃあ……ん?
絶体絶命、背水の陣に追い込まれたと思った僕。
しかし直後、気付いた。
……あれ? もしかしてアイツ……。
現れた少女に、どことなく見覚えがある……否、あり過ぎることに。
『見つけたー』
くぐもった声で呟く少女はそう呟き、ゆっくりと僕たちへ向かい歩み寄ってくる。
「え、え……? じ、迅殿……あの紙袋を被った少女、こちらへ向かって来ていないでござるか?」
「あぁ、そうだな……」
「な、何やら得体の知れない雰囲気を感じるでござる。逃げた方がいいのでは……?」
「いや、安心しろ。大丈夫だ。とりあえず、
「む? それはどういう……」
隼太がそこまで言い掛けた所で、十メートル以上あった紙袋を被った少女と僕たちとの距離はゼロになる。
「うわぁ!?」
咄嗟の出来事に、隼太は驚愕する。
そんな彼を
『えへへ~』
僕に抱き着いた。
ったく、コイツは……。
やれやれと溜息を吐き、僕は少女が頭に被っていた紙袋を取る。
透き通るような銀髪に眠そうに垂れた
間違いない。
抱き着いてきた少女は元『羅天煌伍番隊隊長』にして、【悪童十傑】の一人。
――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます