なんで日記ブームなの?

 土曜日出勤なのに。

 土曜日出勤だからこそ、か。

 わりとぎりぎりに起きてしまう。

 土曜日は通勤の地下鉄の本数がそれほど多くないから、一本逃すと、すぐに次のが来ない。しばらく待たないと行けない。だから遅刻ぎりぎりになる。でも、土曜日に出勤しているのは一人だ。今回の当番は俺。だから、ぎりぎりでも怒る人はいない。

 朝ご飯は食べずに家を出て、コンビニでランチパックの卵と午後の紅茶もしくは紅茶花伝を買う。眠たくなったとき用のお菓子にレモングミも買う。

 いつも同じものを、いつも同じコンビニのおばちゃんに渡し、PiTaPaで支払い、「袋いりません」と告げる。レシートは受け取らない。

 時計よりも同じように朝食を繰り返す。


 いつも地下鉄のホームのベンチに座ってランチパックの卵の袋を破いて食べる。普通の卵サンドと違って、袋が卵で汚れていないので、どこかに食べ物がついたりしない。またランチパックは口の端とかに卵が残らないから、「お前、なんか食ってきたばかりだろ! 朝はちゃんと顔くらいチェックしろ!」と怒られることもない。暖かい紅茶花伝を飲むと、噎せそうになる。いつも焼酎を氷割りでストレートで飲んで夜、寝ているので、朝に起きると喉がカラカラなのだ。水分がゼロの状態。そこに甘い紅茶花伝を喉に流し込むと思わず噎せそうになる。

 しかし、いまだ噎せたことはない。噎せて口の中いっぱいの紅茶をぜんぶ壮大に吐き出したのは家でだけだ。凄まじい飛び散り具合で、机のすべてがミルクティー色に染まった。掃除せずに母が来るまで置いといた。リビングにやって来た母に、「これすごくない?」と俺は言った。

 紅茶花伝を冬の朝に飲むと、五臓六腑に染み渡る。内臓の糖分が酒のせいで奪われており、それを肉体が取り戻そうとしているのがわかる。

 ランチパックを食べたら、紅茶花伝の蓋を閉めて、会社に向かう。


 仕事は退屈だが、なぜか忙しく、あっという間に終わる。


 帰りは立ち飲み寿司か、いきつけの立ち飲み屋に行く。寿司だろうが、飲み屋だろうが、必ずあん肝とビールは頼む。すると隣のおじいさんみたいな客も、必ずあん肝を頼む。俺の食い方があまりにも美味そうだからだと、思っておく。

 家に帰って、レンタルしてきた映画を観る。『カラーズ 天使の消えた街』。長い。しかもこの映画この前も観た。二回目だ。途中で気が付く。

 KACの時は、映画も読書もせずに書いていた。

 もしKACが一年間続くとしても、俺は必ず皆勤賞を取ってみせる。

 気合いが違う。やると決まったらやるしかない。自分の発刊している同人誌も同じ事だ。


 寝る前は快眠サプリを必ず飲む。ファンケルの快眠サプリ。俺の人生を変えたサプリ。今まで俺の顔は冷たかった。低血圧なのかどうかはわからない。ただただ、肌が冷たく、朝起きるとき、本当に苦労した。この世の人間は、これほどの起きる苦しみを超えて会社に行っているのか? 恐ろしかった。仕事中も眠気が凄まじく、噛みごたえのあるグミを二袋も消費して、眠気を防いでいた。あまりにひどいときは、胸くらいの高さの書類ロッカーの上にノートパソコンを置いて、眠らないように立ったまま仕事をしていた。しかしファンケルの快眠サプリを服用しはじめて、睡魔も、寝起きの極悪な辛さもなくなった。神よりサプリに感謝している。


 ある日、カクヨムでみんなが日記を書き始めた。戦争が近づいているからか? 誰が始めたの?

 平和な日常を残しておくつもりなのだろうか。

 じゃ、俺も残すしかないな。

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