父親知らず
私の母は誰の子か分からない私を産んだ。
私をアパートに置いたまま男と飲み歩いて・・
親兄弟からも絶縁されていた。
どういういきさつだったのか記憶に無いが、私は6才ごろから養護施設に預けられた。
施設は清潔で皆優しかった。
養護施設の母はとても優しい人だった。
父は頭が良くて優しくて、人に対して誠実な人だった。
お姉さんやお兄さん・・
妹や弟も出来た。
新しい家族にも慣れて・・
善良な人間になる事の大切さを教えられた。
日々の生活が楽しかった。
新しい父や母を尊敬した。
でも・・
それにも終わりが来た。
国からの生活支援は18才までだからだ。
高校を卒業すると自立しなくてはならなかった。
養護施設の母はいつも言っていた。
「しっかりと自立した大人になりなさい。それが目標だよ。」
それは分かっていたはずだった。
しかし、違ってた・・
私が想像していたほど自立はたやすく無かったのだ。
生活がぎりぎりの給料・・
自立に失敗しても養護施設は頼れない・・
仕事を失ったらそれで終わり・・
セクハラされても笑っているしかない。
失敗して風俗に逃げている先輩もいるけど。
男は悲惨だ・・路上生活になる。
私は女で良かった・・
いざという時に頼れないなんて・・
本当の親じゃあ無かったのだと思い知らされた。
裏切られた感が強くって施設との連絡は断った。
失望と孤独・・
経済的な不安・・
捨てられた感・・
6才で捨てられて・・
18才でまた捨てられた・・
泣いたら負けだよ。
泣いたら心が折れてしまう。
ネットでパパを見つけた。
お金も必要だったけど・・
誰かに守って欲しいから。
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