第26話 見えていなかった後ろのこと
「あれ、ケリさん。めずらしいね。うちまで来るの」
「……
丘の上の家にたどりつくと、門のところに、ゴリラ人の人が立っていました。
タオルで
きっと、
(お、おっきい……)
(おっきい……)
マニャとノイのしっぽが、ぼわわと広がりました。
「お前らに用があるのは、こっちだ」
トンッとケリさんが二人の背中を
「あ、君ら、あれか。ノイくんとニソロくんが言ってた、マニャちゃんとノイちゃん!」
「は、はい……はじめまして」
「……はじめまして」
「うわー、本当にちっちゃい。かわいいなー」
ゴリラ人の人は、そう言いながら、二人に合わせてしゃがんでくれました。
「こんにちは。
「よろしくお
マニャが言いました。
ノイも小さなこぶしを(こちらは、やや
「よろしくおねがいします」
と言いました。
ローワンさんは、さらに笑みをにっこりと深めました。
「あ、マニャちゃん! ノイちゃん!」
ローワンさんの後ろから、声がします。
ノイさんです。
「おつかい来てくれたんだね。ありがとねー。……あ、ケリさん、お久しぶりです」
てててて、とやって来たノイさんは、今日も細い目をさらに細めて
「どうしたんです? 二人の付きそい?」
「ああ」
「へー! めずらしいね!」
あっけらかんと言い
「そっちの姉の方が、ひとりでここに来ようとして、道に
「あらら。だいじょうぶだった?」
ノイさんもかがんで、マニャの顔をのぞき込みます。
「えっと」
マニャは
「たいへんだった! けど、ぼくが見つけたから平気だよ!」
ノイが、元気よく言ってマニャに
「あそこに
ケリさんが、ぼそりとつっこみました。
「そっかぁ。ノイちゃんはいつもお姉ちゃん
ノイさんはそう言うと、ノイの頭を
え? とマニャがノイさんを見上げます。
「あれ? マニャちゃん、気づいてなかった? ノイちゃん、このあいだここに来たときも、ずっとマニャちゃんのそばから
マニャはびっくりして、ノイの方を見ました。
ノイは「そうだよ」と言いたげに、
「そういえば、いつもそうだな」
ケリさんも言いました。
「……気づかなかった」
「まあ、自分のうしろだと、なかなか気づかないよね」
「かと言って、前に出ると『いかにも守ってます!』って感じで相手に
いつのまにか、ひょこり
「おわ! びっくりした。いつからいたの、ニソロくん」
ローワンさんが言いました。
「え? さっきから。
「何でそういうことするかな……」
「俺は気づいてたもんねー」
きゃいきゃいと話しはじめた大人たちを
「……ありがとうね」
もう一度、心をこめて言いました。
ノイは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます