第18話 こうかんじょうけん


「なるほどね」

 クラムさんが、うなずきました。

ニソロさんが、明るく言います。

「それはぜんぜんかまわないよ。一着いっちゃくぐらいえるのなんて、よくあることだしね!」

ノイさんも、

「そうだね。ジャーダさんは、おれたちもよく話すし。着いてすぐの宴会えんかいで、きっと会うと思うし」

 と笑顔えがお了承りょうしょうしてくれました。

「俺もかまわないし、たぶん、のこりの三人も『いい』って言うと思う」

 クラムさんが言いました。

「そのわりと言ったら何だけど、二人に手伝てつだってほしいことがあるんだけど」

「何ですか?」

 マニャとノイの背筋せすじにピンと緊張きんちょうが走ります。

「まず一つは……、ノイ」

 ノイさんを見て、クラムさんは聞きました。

「マグノーさんにたのまれてた銀細工ぎんざいく、今どんな感じ?」

「明日の朝には、ぜんぶ出来ると思うよ」

 銀細工、と聞いて、マニャの耳がパタッと動きました。

 マニャは、細工物さいくものを見るのが大好きです。

 それに気付いたのでしょう。

 ノイさんが笑いながら、

「あとで見せてあげるね」

 と言って、マニャの頭をなでました。

「じゃあ、明日の朝、それを取りに来てくれるかな? それで、マグノーさんにわたしてほしいんだ。俺たち、明日は六人そろっての練習でいそがしくて、行けないかもしれないから」

「わかりました」

 明日またここに来ること自体はかまいませんが、『六人』という言葉に、マニャは気が重くなりました。

 新しい人が三人もいます。

 しかし、文句もんくは言ってられません。

「あともう一つは」

 クラムさんが、パチンとウィンクしました。

「俺たちのダンスを、今からちょっと見てほしいんだよね」

 お客さんの反応はんのうが知りたくって。

 クラムさんが言って、うんうんとノイさんとニソロさんもうなずきました。

 マニャとノイは顔を見合わせます。

「はい!」

 二人は、しっぽをピンと立て、いいお返事をしました。

 実は二人も、どんな風に彼らがおどるのか、気になっていたのでした。

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