第15話 ステージのある家
「ここ……かぁ……」
「……」
ようやくたどり
そこに立つ
四角の
まず、下に二つの箱。上にもう二つ
そして、そんな真ん中の箱の上に、長方形の箱が一つ、
そして、いちばん上の正方形の箱の上には、ガラスで出来たドームがぽんと乗っかっているのでした。
家のまわりは、広い運動場のようなスペースで、ステージもありました。
ここで練習をしているのでしょうか。
ステージには、イスや箱が
門のかげから、二人はひょこっと顔を出してあたりをうかがいますが、どうも
門から家までは、少し
「……だれか、いないかなぁ」
おいしいガレットを食べているときは
(もどってこなくていいのに……)
「だれか一人だけ、外にいたらいちばんいいんだけどな」
マニャが言いました。
そうしたら、ドキドキしながらでも、おつかいのものを
ノイも、門から顔を出してきょろきょろ
これはもう、勇気をふりしぼって
二人が、顔を見合わせ、うなずき合おうとした、そのときでした。
「そんなところで何してるの?」
「!」
「ッ?」
二人の後ろから、声がしました。
二人はびっくりして、キャッと
おそるおそるふり返ると、そこには一人のイヌ人の男のひとがいました。
「わあ、かわいい。ちっちゃい子だ。どこの子?」
そのひとは、ひょく、と首をかしげました。
大きなお耳に、くりくりした目。茶色と白のふわふわの毛。おっきなお耳は、元気よくピンと立っていて、まるでちょうちょのようです。
ちっちゃな二人にとっては、おっきな大人ですが、同じイヌ人の中でも小さなそのひとは、おそらく、イヌ人の中のパピヨン
「このへんの子?
高い声ですが、大人の男のひとです。矢つぎ
しっかりしなくては、と思うのですが、うまいこと言葉が出てきてくれません。
「ニソロちゃん、何してんの?」
「あ、ノイくん」
ノイくん、と言われて、ノイがビクッと震えました。マニャも「え?」と目を丸くします。
けれど、ニソロと呼ばれた彼はノイたちの方を見ていませんでした。
自分の後ろにいるひとをふり返り見ていました。
いつのまにか、もう一人ひとが
「この子たち見て! めっちゃかわいい」
「あらあら」
(このひと……)
そのひとは、ふしぎなひとでした。
まず、ヤモリ人によく
けれど、ヤモリ人と違って、短い体毛におおわれています。
みなさんの世界には、ヤモリやオオサンショウウオのぬいぐるみがあると思いますが、まさしくそれが立って服を着て
(なに人だろう……)
すらりと細く、背が高いです。
けれども、まったくこわい
目が、まるでえんぴつで
「わー、ほんとだ、かわいい。ちっちゃい」
ノイくんと呼ばれたそのふしぎな人は、細い目をより細めて、はしゃいだ声を出しました。
「ねえねえ、君たち、どこの子? お
「こらこら、ニソロ。この子たち、びっくりしちゃってんじゃん。そんないきおいよく話しかけないの」
そう言うと、ノイさんは、二人の前にかがみこみました。
ぬ、といきなり顔が近くなって、マニャのしっぽがボッとふくらみます。
「はじめまして。
「ニソロだよー」
「っていうんだ。よろしくね。
「えっと……」
にこにこ。にこにこ。
二人は、ずっと笑顔でこちらを見ています。
いい人そうです。
けれど、マニャはドキドキしてなかなか話せません。
腰に抱きついているノイのぬくもりに勇気づけられながらも、どこからお話すればいいか、頭の中がしっちゃかめっちゃかです。
「……」
目の前にいるノイさんは、マニャの頭の中がわかったのでしょうか。
ただ
ニソロさんもわかっているのか、今は口をつぐんで待っています。
ですが、「あ」と何かに気づいて
「二人とも、めっちゃ
持とうか? とニソロさんが手を
そこで、マニャはハッとして、荷物を前に出すと、
「えっと、おとどけものです。あの、マグノーさんから!」
とあわてて言いました。
「……マグノーさんが、めずらしいね」
ノイさんとニソロさんが、二人から荷物を受けとりつつ、首をかしげます。
「えっと、あの……」
何かありそうだ、とさっしたノイさんが、あらためて細い目をさらにふにゃんと細めました。
「あれだったら、中でゆっくり話さない? おかしあるよ」
「うん! そうしよう。マグノーさんのところから来たんだったら、つかれてるでしょ? 休んでいきなよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます