第12話 おとなは、むずかしい


「ケリさん、ぼくたちをしんぱいしてくれてたんだね」

「ね。わからなかったね」

 おとなは、見かけだけじゃわからないのかも。

 マニャとノイは、そう思って「おとなは、むずかしいね」と言い合いました。

 けれど、わるい気もちでは、まったくありませんでした。

 今日まで、まったく会ったことやはなしたことのないひとたちから気にかけられることは、二人の中ではむずむずするような、あたたかいような、そんな気もちになることでした。

「私たちも、かえったらふえらそうか」

「うん、そうしよう。二回、ぽう、ぽうって鳴らそう」

 二人は、帰り道に相談そうだんして決めました。


 そして、そのあと。

 森に今日で三度目の「だいじょうぶです」の音が鳴りひびきました。



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