第11話 花火の音、その意味は
「おつかれさま。入って」
マグノーリエさんのお家に
マグノーさんは二人をむかえ入れると、スタスタと
先ほどまで
(やっぱり、マグノーさんはぶあいそうだなぁ)
と二人はしみじみ思いました。
「ここに出してもらえるかな」
作業台に
二人はうなずき合うと、
ノイが
マグノーさんは、出された布をかたっぱしから広げて
「うん。あいかわらず、いい色だなあ。ほれぼれしちゃうよ」
マグノーさんが、
それは、まるでおいしいものを食べたときに、思わず出てしまうため息のようでした。
そう思う、と二人もこっそりうなずきます。
「あと、もう
「あれ? たのんだのはこれだけだったと思うんだけど……」
「そうなんですけど……おまけだって、ディリノーさんは言ってました」
マグノーさんは首をかしげながら、マニャが取りだした布を手に取りました。
とたん、
「わぁ……っ」
と声を上げ、かたまってしまいます。
そしてその
「すてきだよ。すばらしい。なんて、すてきな布なんだろう!」
歌うように、マグノーさんが言います。
マグノーさんの手の中で、
「ちょうどね、あのワンピースに新しい布をあしらいたいって思ってたところだったんだ」
マグノーさんが、
彼女の視線の先には、トルソーに
まだ破れやほつれは
「すごい」
ノイが、ぽつりと言いました。
「つくろっているときにね、ピンと来たんだ。『ああ、ここに翠の布があったら、もっときれいになるだろうなぁ』って」
マグノーさんは、ぴょんぴょんと
そして布を当てると「やっぱり!」ととてもはずんだ
「イメージ通りだ。すごい、すごいな。まるで、あつらえたみたい。まるで、元からたのんであったみたいだ!」
二人は、そんなマグノーさんをふしぎそうに
「んんっ。ありがとう、君たちのおかげだよ」
そんな二人の視線に気づいて、マグノーさんは照れてせきばらいをしました。
けれどそのあと、はにかんでお礼を言う顔は、やっぱり少し、先ほどの少女の
どんなに
「えっと……」
「どう、いたしまして……?」
「今日はもう
そう言って、マグノーさんは、明日の朝十時ごろ、またここへ来るようにと言いました。
二人はうなずいて、お家へ
「そういえば」
マニャがふと、
「ディリノーさんのところから戻るとき、後ろでポンポンッて
聞く気は無かったのですが、思いうかんだのでつい口にしたのでした。
マグノーさんは、ちょい、と首をかしげたあと、ああ、と言いました。
「それはたぶん、花火で知らせたんだろうね」
「知らせ……?」
「そう。ケリに『
何だかんだ、
そういえば前に、二人もお父さんから聞いたことがあります。
森のひとに何かを
一回だけ
二回吹くと、「だいじょうぶ」「安心してくれ」という意味。
そのことをマグノーさんに言うと「そうそれ。それと同じ」とうなずきました。
「
そう言って、マグノーさんは、ポケットから白く細長い笛を取り出すと、ぽー、ぽーと大きく
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