第6話 その頃勇者エルヴィンのパーティでは1
俺はアルベルトの婚約者であるフィーネを抱いていた。
「もう止めて!? 無理!」
「なんだよ、まだまだこれからなのに?」
俺はぐったりしたフィーネを放り出し、白い肌を露わにしたフィーネを眺めて半笑いになる。
本当に良い気分だ。アルベルトの女はおとなしくて、何でも言う事を聞く。何でもありだ。
ホント、アイツの最期の顔、魔法写真でも撮っておけばよかった。写真にして、何度も見て、思い出して笑いたい。
愛していた女を寝取られ、なす術もなくぼろ雑巾の様に崖から突き落とされるなんて、どこまでも哀れなヤツ。フィーネは抱かせなければ戦いでアルベルトを守ってやらないと言ったら、あっさりと股を開いた。フィーネは弱いアルベルトが何度も大怪我をしそうになって、精神が弱っていた。そこに付け込んだら、あっさりだった。ちょろいもんだぜ。
それにしても本当にアイツには腹が立つ、村一番の器量良しのフィーネだけでなく、大半の女の子がアルベルトの事が好きだった。なんであんなヤツが? 唯の底辺回復術士のアイツが? 俺は認めん。女の子みなから好かれるのは勇者である、この俺であるべきなのだ。
それにしても、次はアルベルトの妹、シャルロッテでも、ものにするか? なに、兄が亡くなって心が落ち込んでいる筈だ。そこに付け込めばきっと簡単だ。 ああ、今からワクワクする、俺が殺した男の妹が俺に股を開く、想像するだけでたまらない。
それにしても、アルベルトの知らない処でフィーネを弄ぶ日々も楽しかったが、今はそれができないのが残念だ。アイツがフィーネと俺がどういう関係かを知った時の顔と言ったら、傑作だったな。まあ、今は隠す必要も無くフィーネが抱ける利点もあるが。
それにしてもフィーネは気が弱いせいか、何でも言う事を聞く。アルベルトが死んで以来、ちょっと、慰めてやると、いとも簡単に股を開く。フィーネはドMの才能もあるようだ。あれの具合もいいし、躾けをしたら、腰使いもどんどん良くなっていった、口の方も上手くなってきたな。そうだな、そろそろ後ろの穴も開発するか?
足でまといもいなくなったし、これでダンジョンの攻略もはかどるだろう。勇者はこの大陸に一国に一人程度しか現れる事がない才能だ。この大陸でたったの7人しかいない。俺は選ばれた人間なのだ。だから、アルベルトごときに負けるなど、あってはならないのだ。ましてや、アイツは俺が庇ってやらなければ、何度死んでいた事か。
「勇者として魔王を討伐して、名声を手に入れたら…」
酒池肉林だ。そう、俺はそれを手に入れるつもりだ。勇者である俺には相応しい生き方だ。俺はアルベルトなどとは違う種類の人間なのだ。
アルベルト、あの世から見ていろよ、先ずはお前の妹の股を開かせてやる。お前を殺した男に股を開かせてやる。そして、俺の名声がこの大陸に刻まれて、貴様の事は誰の記憶からも消えるのだ。はっ、ははははははっ、何て楽しいんだ。
☆☆☆
「勇者エルヴィン、リストラは済んだようだな?」
勇者エルヴィンの国、プロイセン王国の侯爵、ダニエルはエルヴィンに語りかけた。彼は勇者エルヴィンのパトロンで勇者パーティ強化の責任者でもあった。
「はい、ダニエル様。パーティの足手まといアルベルトを上手く処分しました」
エルヴィンの言葉に、ダニエル侯爵は一瞬アルベルトが誰の事か思いだせないようだったが、ふとあの底辺回復術士の名前かと顔を思い出したようだ。
「ああ、あの底辺回復術士か…底辺、まさしく無能だな」
「はい。パーティの活動で、半年も一緒に行動しているのですが、レベルは俺達の半分しかあがりませんでした。その上、ポーションがもったいないので、庇ってやる必要があり、俺が怪我する事もありました。回復役の為に怪我をする…そもそも、あいつがいなければ、回復役はいらないんじゃないかとさえ思えました。正しく無能です」
「それは大変だったな。国王陛下が勇者パーティメンバーには気を遣うよう言われていての。無能にまで気を遣わされて、大変だったのじゃ。国王にあの底辺回復術士をクビにしたいと申し上げたら、激しく止められての、そなたに処分してもらうよりなかったのだ」
「はぁ、本当にあの無能には苦労させられました。しかし、ダニエル様が殺してしまえばいいと、ご判断されて、俺も躊躇なく処分できました。流石侯爵様です」
「まあ、勇者パーティも実力主義でいかんとな、魔王軍との戦いで、勇者である君が死んでしまいでもしたら大変だ。その為にはアルベルト君の死は必要なことだ」
「おっしゃる通りでございます、ダニエル様」
「勇者エルヴィン、それから、あの無能へは国王陛下より特別弔慰金を賜る事になる。もちろん無能の親に渡す必要なぞない。私と其方で山分けじゃが、異存はないか?」
「異存などございません。あの無能が俺の役に立つのなら天国で喜ぶでしょう」
「うむ、これからも頼むぞ。お前はここ100年で最高のステータスを誇る勇者じゃ、魔王に止めをさすのは其方だと信じておるのだ」
「もちろんです、侯爵様、魔王には必ず俺が止めを刺してご覧にいれます」
「頼むぞ」
ダニエル侯爵と勇者エルヴィンは互いにニヤリと笑う。
あくる日、エルヴィンはダンジョンへと向かった。そして勇者パーティが集まる。
「あの、エルヴィンさん。今日はいつもの半分の階層までにした方がいいと思います」
新人の司祭、ナディヤが意見をしてきた。ナディヤは冒険者として活躍していて、レベルは既に50を超えている。期待されている新人だ。スタイルもいい、エルヴィンはそちらの方も期待していた。
「ナディヤ。何を言っているんだ? 足でまといがいなくなったんだぞ、むしろ前より深い処まで潜るぞ」
「ま、前より深い処? 冗談ですか?」
「冗談じゃない。回復役の底辺回復術士アルベルトより強力な司祭の君が入ったんだぞ。その上、あの足でまといがいなくなったんだ。当然じゃないか? 戦死者が出て気が落ち込んでいるんだろうが、気持ちを切り替えろ。むしろ、あいつがいなくなって、状況が好転したんだ」
「アルベルトさんがいないんですよ?」
「ナディヤ、何を言っているんだ?」
ナディヤは不安そうな顔をした。
「アルベルトさんがいなくなったら、強化魔法が…なく…」
ナディヤはこのパーティで唯一レベル50を超えていた。天の声とステータス魔法が使えた。彼女は自身のステータスを見て、パーティに強化魔法2倍がかかっている事を知っている唯一の人間だった。だが、パーティへ入ったばかりの新人が勇者に意見できる筈もなかった。
「さぁ、今日は一気に最終階層を目指すぞ!」
……勇者エルヴィンの威勢のいい声を聞き、ナディヤは困惑と疑問を感じた。本当にアルベルトさん無しでこのパーティは大丈夫なんだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます