⑨
彼女が、女の手を強引に振りほどく。
涙でぐずぐずに崩れた顔で、喉からは嗚咽を漏らしながらも、彼女は女に何かを叫んだ。
その一言は、確かに、女の心を砕いたのだろう。
それでも。
ー今なら、言えるでしょう。
その痛みなど、これから味わうであろう苦痛に比べたら、幾らでも我慢の出来るものだと。
ーだから、お願いよ。
幾ら傷ついていようが、
幾ら惨めになろうが、
何も言わず、彼女を抱きしめて、
二度と離してしまわぬように
二度と失くしてしまわぬように
その手をいつまでも、いつまでも、強く握って離さないで。
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