それを女は、居なくなって欲しくない一心で、必死に繋ぎとめようとしているように見えた。


そんな女の態度に段々と苛立ちを募らせてきたのか、彼女の声が、どんどん大きくなっていく。


ーああ、嫌だ。

それ以上は、やめて。

その先を、私に見せないで。


だが、そんな私の願いなど届くはずもなく、映像はゆっくりと、それでいて確実に、進んでいく。

止めることも、変えることも叶わず。


当たり前だ。

この物語を選んだのは、他でもない、私自身なのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る