私は、近くの椅子に腰をかける。


誰もいない、静かな空間の中で、フィルムを巻く機械音と、私の息遣いが木霊する。


映像は、点滅を繰り返しながら、私の鼓動に合わせるかのように、ゆっくりと、モノクロの景色を流していく。


映し出されたのは、雪の降りしきる、冬の街中だった。

どこかは分からない。

恐らく、都心ではないだろう。

地方の景色に似た色を感じる。


その中で、二人の女性が歩いている。


視点が、一人称に切り替わった。


目の前で、眩い笑顔の女性がはしゃぎながら、こちらを見ている。

その笑顔は、舞い散る雪を溶かしてしまうほどに、鮮烈だった。

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