⑤
私は、近くの椅子に腰をかける。
誰もいない、静かな空間の中で、フィルムを巻く機械音と、私の息遣いが木霊する。
映像は、点滅を繰り返しながら、私の鼓動に合わせるかのように、ゆっくりと、モノクロの景色を流していく。
映し出されたのは、雪の降りしきる、冬の街中だった。
どこかは分からない。
恐らく、都心ではないだろう。
地方の景色に似た色を感じる。
その中で、二人の女性が歩いている。
視点が、一人称に切り替わった。
目の前で、眩い笑顔の女性がはしゃぎながら、こちらを見ている。
その笑顔は、舞い散る雪を溶かしてしまうほどに、鮮烈だった。
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