手を伸ばせば、触れられる程の距離にいる、彼女に


心をくすぐるような、春の温かなそよ風のような、そう思わせる声で笑う、その人に


手を伸ばす。


二度と、離さぬように。


綿毛のように、掴みどころのなさそうなその人を、

二度と、逃してしまわぬように。


伸ばした手が、はしゃぎながら笑う彼女に触れる瞬間、雪の勢いが強まり、目の前の映像が、早送りのように流れる。


次に映し出されたのは、どこかの家の室内だった。

見覚えのある場所に、よく似ていた。

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