違うのは、通路の先にある扉が、3つではなく、1つだけ、ということ。

その扉の上には、「5577」と記してある。


「嘘…」

慌てて振り返るが、老紳士の時と同じように、入って来たはずの扉はなくなっていて、そこには、無愛想な壁だけが存在していた。


訳が分からないが、とりあえず、目的の場所まではたどり着けたようだ。


「…中に入ろう」


劇場内には、私以外誰もおらず、映写機から漏れる、機械のような駆動音が、小さく響き渡っている。


スクリーンには、映像が垂れ流しされている。

無音声映像らしく、登場人物のセリフが、どういった内容なのか、聞き取ることは出来ない。

丁度、今の上映が終わったらしく、次の作品の上映が始まった。

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