プロローグ2
そして、4限目後の昼休み。
俺は言われるがまま、椎奈雪姫が待っていると思われる図書準備室へと向かった。教室から出ていく時には一瞬だけクラスがざわつき、視線も感じたがまぁ、今更関わる気もない。言わせておけばいいだろう。
とはいえ、そんな知らない人たちなんかはどうでもいい。
そう、俺が気にしたいのはそんな知らないどうでもいい人たちが驚いていた原因である椎奈雪姫との謎の密会と言うことだ。
今朝の一幕。
「パンツ見えてますよ」と親切心で言ったにもかかわらず真っ赤な顔で一発殴られるという、個人的には恩をあだで返された気分にされたあれだ。
朝はあんな風に俺のような言葉を言う人間はいるのか? なんていう感じで言ったが……正直、廊下を歩いて彼女がいる場所まで歩くうちに気が変わった。
なんで俺があんな風に殴られなきゃいかん。
というか、吹雪の姫さんも律儀に俺を教室まで呼びに来ちゃって一体全体、情緒がどうなっているのかよう分からん。
まあ、とにかくなんか賠償でも言われてしまうかもしれないからどうにか逃げ切る方法だとか考えんきゃな————と思いながらも俺はいつの間にか図書準備室の扉の前に立っていた。
「早いな……」
教室棟から特別室棟に行くまでそれなりにかかるから不便だなと思っていた昨日までの日々が嘘の様だ。
「……何が早いのかしら?」
「いやぁ、それがな。教室からここまで来るのに案外早いなぁって思って————」
って、俺。
今、誰としゃべっているんだ?
「————っえ⁉」
「っ……人の顔見て驚くのはどうなのかしら?」
「——っし、椎奈雪姫!?」
「はい、なんでしょう?」
「な、何でしょうって……え、な、何でここに?」
「なんでここにってあなた……えっ——と、あぁ、道長くんをここに呼んだのは私だからでしょ」
「え、いや……だって先に言って待ってるからって言ってt」
「あれは言葉の綾でしょうが。ていうかだいたい、女の子よりも男の子の方が早く来るのが礼儀ってもんでしょ?」
「知るか……そんな礼儀が通用するならフェミニストもその他活動者もいらんわ」
「私は別にそんな思想持ってないし。というか、そんなのどうでもよくて、ほら、一旦、入って」
「え、いやまだ話は——っちょ」
「はいはい、いいから~~」
と言うわけで、俺は半ば強引に椎奈雪姫こと吹雪の姫に背中を押されて図書準備室の中へと押し込まれたのであった。
次回、プロローグ3「世界滅亡っ——え?」
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