第4話 俺以外誰も覚えてないけど、チートを自覚するキッカケはステータスと叫ぶオタクだったりする

 常識的に考えて、異世界召喚するなら城の中とか教会とか、とりあえず自陣営の施設であるべきだと思う。かの孟子が「幸運は地形の有利を覆さないし、地形の有利は一致団結には敵わない(天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず)」と言っているので、謎の幸運で異世界帰還チートを持ってるだけで地の利も人の和もない俺たちを御するには、地の利を整えるだけでも召喚後の対応の難度は十分変わるだろう。異世界に孟子が居るかは知らんが。というか衣食住は最低限揃えていただきたい、こちとら現代日本人様やぞ!ちょっとのストレスと大義名分、あと絶大な力があればそれだけで殺し合いを始める野蛮人(クラスメイト)

 さて現在俺たちはよく分からない木立の中に居る。林のように木々が生い茂っているわけではなく、山のように勾配のある土地ではない。木立オブ木立、ベスト木立ーニスト受賞決定、異世界歴0年流行語大賞候補、『木立KODACHI』。


「うおおぉぉぉ!『ステータス』出たぁぁぁ!!」


 叫ぶのは元鑑定チートだったオタクくん。占い師グループ設立の初期メンバーである。そういえば『鑑定』でしか『ステータス』を見れないんだよなぁ……、と少々懐かしい気持ちを抱いたのは異世界二度目の俺である。


「お前も言ってみろって!」

「絶対イヤ!」

「騙されたと思って、1回だけ!」

「マジでイヤ!!」


「うぉ、なんか出てきたぞ!?」

「おぉ、マジじゃん!」

「えっ、なにこれヤバくない?VRっしょ??」


 うんうん、一応皆で『ステータス』って言ってみるんだけど、何にも起きなかったんだよなぁ……。それで鑑定くんの株が落ちて、でもそれぞれが持ってるチートを言い当てたお陰で株急上昇するんだよな。知ってる知って……、え?


「まじでステータス出んの?ステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータスステータス(独り言並の小声)」


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 △○▷◇:€%@¥*=#

 ☆♤▼◎:&+“<^^*

 ♧♢○♡:(?-//;‘•]*£

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 なんだコレ、全く読めないだとっ!?




【主人公】

 なんか出たけど、なんも分からんかった可哀想なやつ。『ステータス』なんて連呼するもんじゃないんじゃぜ。バカ。

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