第二十六章 観光、そして情報収集
「なによここ…、美味しいものだらけじゃない…! このお肉も、このお菓子も全部食べたことない物ばかりだわ最高!」
翌日の昼。俺は、真耶と陽子と共に王都を見て回っていた。
念願の食べ歩きができてはしゃぐ陽子に苦笑しつつ、俺も久々にゆっくりとした時間を満喫していた。右も左もわからない異世界でこういう時間は貴重だ。
改めて露店巡りをしつつ、もう一つの目的も忘れない。アウレス王がどんな人物なのか見極めたいと、真耶が言い出したのだ。
確かに、王さまの話に明確に返事はしていない。亡騎の件は目にしてしまった以上放っておけないが、それ以外の危機とはなんなのか、諸々判断するには情報が少なすぎる。
「リエスから話を聞くのが一番早いんだろうけどなぁ」
「王女様ですからね。忙しいでしょうし、簡単には会えないと思います。まあ無理に気を張ってもしんどいですし、ゆっくりいきましょう兄さん」
「ねへねへ、ふはりほも。ほのほにくおいひいわよ!」
「陽子は食べ過ぎじゃないかな!?」
口いっぱいにフルーツパフェを頬張って、小動物めいた緩み切った顔を晒している陽子。これはこれで、緊張感がなさすぎて逆に困る。
「まったく……」
「ほんとになぁ。だらしなさすぎるってもんだろう、女剣士さんよ」
「ん?」
妙に気さくな声をかけられて振り向く。そこに立っていた人物の姿を見て思わず自分の顔が赤くなった。
なぜって、そいつの格好だ。ヘソ出しのトップスにホットパンツ。恥ずかしげも無く放り出された四肢と肌が眩しい。露出度のせいでここが南国のビーチかと勘違いしそうだ。
「だ、誰だ…?」
「おいおい、女の顔と声を忘れるなんてほんとにあっちの世界のお前さんとは大違いだねぇ。ほら、オレだよ。マリアだ」
「えっ、鎧は?」
「オフの日まで着てるわけねぇだろ!?」
いいツッコミだ。って、それもそうか。
それにしても目のやり場に困る…。制服姿の真耶は当然として、陽子も袴というか和服を着ているから、この手の格好への耐性が薄いんだよな……。
「蓮、視線がいやらしくない……?」
「はっ!? い、いや、別にそんな変なとこなんて見てはいないぜ?」
「ヘェ。ならオレのどこを見てたってんだよ〜、レン様」
「ばっ、お前不用意に近づくなって…!」
「あ」
胸を強調するような姿勢で覗き込んでくるマリアに驚きかわそうとして、足がもつれた。体勢を崩して二人揃って倒れ込む。
「っ。ご、ごめん!」
「…こーいうとこは変わらねぇなあ、お前さん」
倒れた拍子に、俺の右手は吸い込まれるようにマリアの胸元に潜り込み、彼女の胸を鷲掴みしていた。程よいサイズ感と柔らかさが掌から脳を刺激する。
「ぁん…。ちっと、くすぐったいんだが」
「い、いつまでそうしてるつもりよ蓮!」
「兄さん…。真昼間から痴漢とはいい度胸ですね……?」
「いや違うからな!?」
マリアの上から飛びのいて弁明するも、三人の女子からの冷たい視線が痛い。不可抗力なんだ、許してほしい。
「ったく。ま、慣れてっから気にしねーがよ。なぁ、"女タラシの騎士" レン様?」
「誰が女たらしだよ! それと、さっきからレン様って…。お前もどこかの世界で俺の知り合いだったのか?」
「おうさ。あー、そこんとこも話さねえとなのか。あのローブ女、説明を
頭をガシガシとかきながら、マリアが近くのベンチにどかっと腰掛け、話し始める。
「そもそもだ。お前さんら、この世界に起きてる異変についちゃどこまで知ってる」
「どこまでって、
「なんだ、その程度の認識なのかい。正しくはその逆だ。終骸は壊れた世界の残滓、断末魔のような物なのさ」
なんだと。そんなこと『管理者』は言ってなかったぞ。壊れた世界だって?
「その話は誰から聞いたんですか?」
「ん、レン様の妹ちゃんか。マヤっていうんだっけ? よろしくねぇ。この話は当然ローブ女から聞いたのさ。まぁ、そこらの話はおいおいだな」
そんな軽く流されても困る話題だとは思うが、確かに早くもう一つの話を聞いておきたい。すなわち、マリアがどういう知り合いだったのか。
「さてと。オレがお前さんとどういう関係だったかというとだな…」
マリアの次の一言により、俺はこの質問をしなければよかったと、向こう一週間後悔することになった。
「オレはな。向こうの世界で、騎士レン、つまりお前さんの愛人やってたんだ」
「よーし蓮を殺してアタシも死ぬわ」
「兄さん見損ないました。今ここで縁を切りましょう」
……………はい?
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