わたしをグアムに連れてって 1

 一通りの経緯を聞いたミクリ。


「グアムの事ですか。お嬢様、グアムをガムって発音する人はロクな大人になりませんよ」


 ※あくまで個人的な意見です。


「え!? そうなの? アズサは何て言ってるの?」


「グアムですね」


「そっかあ……。アズサがそう言うんだったら、グアムって言うね」


 それを聞いたアズサ。


「ミクリ、あんたもしかしたらお嬢様から信用されて無いんじゃないの?」


「え、そうなんですか?」


「だってミクリはすぐふざけるんだもん」


 カレンは当然と言わんばかりです。


「一体私がいつふざけたって言うんですか?」


「……今」


 変顔をするミクリを冷ややかな目で見つめるカレン。


 その後ろでアズサは笑いのツボにハマったらしく、噴出しそうになるのを必死に堪えるのでした。



 ◇ ◇ ◇



 ミクリは思い出したように手をパンっと合わせます。


「そうだ! お嬢様、いい物がありますよ」


「いい物?」


 首を傾げるカレン。


 ミクリはパチンと指を鳴らすと、ポンっと現れたのは……。


 手のひらサイズでキューブ状のガラス材。


「これなあに?」


 カレンは興味津々にキューブを見つめます。


「前に魔動市まどういちで買った優れ物なんですよ」


 魔動市とは魔動製品マジックアイテムの掘り出し物市場の事です。


「あんた相変わらずガラクタ集めを続けてるの?」


「ガラクタ? ふ、何とでも言うがいいさ。実際に使ったらこれの良さが分かるのだから……」


「ふーん」


 アズサはあまり興味がなさそうです。


「それじゃあアズサ! カーテンを閉めて明かりも消して」


「良いけど何故?」


「いいから、いいから」


 言われた通りにするアズサ。


 室内が真っ暗になったところで、ミクリは目を凝らしながら杖でキューブをポンっと叩きます。



 すると……。



「!?」



 カレンとアズサは目を疑いました。


 さっきまで真っ暗な病室にいたはずなのに……。


 瞬きをしていた間に、辺りは太陽が照らしつける常夏のリゾートビーチに変わっていたのです。

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