刻印無しの魔法使い 4

 突如ミクリとコバヤシの前に現れた少年。


 彼はミクリに向かって攻撃を繰り出します。


 それは青白いビームで、当たった物を問答無用で捻り切る魔法だったのです。




 ミクリは咄嗟に魔法で拳銃を出現させると、ビームに向けて発砲します。


 パーン!


 銃弾はビームを打ち消すと共に凄まじい破裂音で捻り切れました。


 教室内にいた幼稚園教諭の女性が扉を開けます。


「あのう、何かあったんですか?」


「外に出ないで!」


 ミクリは天空に向かって発砲し、危機感を露にします。


「ひいいい!」


 女性はすぐに扉を閉めました。




 少年はミクリに指を差します。


「キミ達あれだろ? カグラザカとかいう、いけ好かねえ貴族の犬だ。僕はそういうの詳し――」


 透かさずミクリは少年に向かって発砲します。


「な!? ツイストおおお!!」


 少年は焦りを見せたものの、咄嗟に魔法を繰り出します。


 青白いビームは銃弾に衝突すると、その威力を殺して消滅しました。


「おいてめえ! こっちは対話をしてるんだぜ! 人の話は最後まで聞けって学校で習わなかったのか!」


 怒りを見せる少年。


「そっちこそ表門からちゃんと入りなさいって幼稚園で習わなかった? もう一度やり直したらどう?」


 ミクリは背後にある教室に向けて親指を差します。


 少年は舌打ちをすると、ミクリに杖を向けます。


「ちっ、ツイスト!」


 ミクリはぎりぎりでビームを避けると、少年に向かって駆け出します。


 ビームと言っても光とは異なる物らしく、銃弾の速さと大差ありません。


 それでも普通の人には到底避けられる物でもありませんが……。


「くそ! 避けんじゃねえ! ツイストツイストツイストツイストツイスト――」


 今度は連続攻撃が襲ってきます。


 ミクリはぎりぎりで躱しながら少しずつ相手との距離を詰めていきます。


 しかし、とうとうビームの一発がミクリの左腕に当たってしまいました。


「よし! 当たった! 死ねー! ツイストー!」


 ミクリの左腕に凄まじい力のバックスピンが掛かります。


 その威力は多少落ちていましたが、腕に力を入れなければすぐにでも千切れそうな程です。


 そこへ新たなビームが彼女の首に向かって飛んできます。


 その時。


「ウィンド!」


 突風が吹いてミクリの正面に砂埃が舞います。


 コバヤシが力を振り絞って魔法を使ったのです。


 砂埃によって打ち消されるビーム。


 ミクリはバック宙返りを3回して左腕に掛かる捻じれを解消すると。


 砂埃に紛れて少年の右手に銃弾を浴びせたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る