薔薇とバイクと延命剤 3
薔薇の花束を買って行った男性をバイクで追いかけるミクリ。
「まだそんな遠くには言ってないはずだけど……」
しかし、バスやタクシーに乗った可能性もあります。
「仕方ないか」
ミクリは魔法を使って右手に杖を出現させると、辺りの電線に留まっていたカラス目掛けて手当たり次第に光線を発射します。
ヒットしたカラスたちはミクリの従順な
間も無くミクリの頭上へ集結そして旋回した後、カーカーと一方向へ飛び始めます。
「しまった、逆だった」
ミクリはすぐさまUターンすると、カラスの群れを追いかけていくのでした。
◇ ◇ ◇
カラスの大群は大きな噴水がある公園に入っていきます。
それを追いかけて、ついにミクリは見つけました。
薔薇の花束を買って行ったあの男性を……。
そしてその手にはあの薔薇の花束。
除草剤の効果が現れ始めているのか、花束からは変な煙が出始めています。
「もう時間が無い! うおおおお!」
一輪車を全力で漕ぐミクリ。
さすがに公園内でのバイク走行は禁止なので、その辺にいたキッズから借りていたのです。
「うおおおお!!」
そのまま小瓶の蓋を開け、構えます。
一方、お相手の女性に見えないよう自身の身体で覆い隠すように花束を持つ男性。
花束から煙が出ていることも……。
そして背後から一輪車を漕ぐ少女が全力で突っ込んできていることすら露知らず、お相手の女性へプロポーズのチャンスを伺っています。
そして花束に向かって突っ込むミクリ。
「うわおおおおお!!」
あともう少しで小瓶を持ったミクリの手が花束に届きます。
その時――。
物凄い突風が吹きました。
どこからか飛んできた新聞紙がミクリの顔面にパサっと覆いかぶさります。
ミクリはバランスを崩します。
「うわあああ! 前が見えないー!」
と、同時に男性の頭部のカツラが突風でふわっと舞い上がり、地面にパサっと着地しました。
「えーい、ままよ!」
でもまだ諦めていないミクリ。
視界を奪われながらも適当に延命剤を撒き散らします。
しかし赤い薔薇の花束は延命剤を浴びることが叶わず……。
とうとう消滅してしまったのです。
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