迷子の魔法使い 6

 ふと、夢から覚めたカレン。


 カーテンを開けると、星が綺麗に輝いていました。


 すると、窓の外を不思議な色で輝く蝶々が飛んでいます。


 それは星にも負けない美しさで、その魅力に誘われるように……カレンはすぐさま屋敷を飛び出しました。


 途中、見失いつつも……都度また見つけては追いかけ続けます。


 でもとうとう見失ってしまい……。


 そして気付いた時、ここが何処だか分からくなってしまったのです。



 戸惑うカレン。


 すると……誰かが後ろから声を掛けてきました。


「あら、可愛いお嬢さん。どうしたの? もしかして迷子?」


「違うもん。迷子じゃないもん」


「あら、素直じゃないですね」


「だって、迷子はあなたの方でしょう?」


 そしてカレンは振り返ります。


 そこにいたのは一人の魔法使い。


 ずっとずっと憧れていた……とっても大好きな魔法使い。


「ねえ、迷子の迷子の魔法使いさん……わたしと一緒に帰ろう?」


「でも私といると、お嬢様はまた恐い思いをするかもしれませんよ」


「そんなことないもん! またミクリが守ってくれんでしょう? ミクリが傍に居てくれないとヤダ! わたしと一緒に帰るの!」


 小さなその瞳はあまりにも力強く真っ直ぐにミクリの瞳を見つめます。



 二人の時間がゆっくり流れていきます。



 いつの間にか……ミクリの瞳から、涙が溢れ出てきました。


「自分だって立派な迷子のくせに……。本当、素直じゃないんだから……」


 それは綺麗に輝く大きな満月の夜でした――。

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