迷子の魔法使い プロローグ

 かつて死神と呼ばれた少女がいました――。



 当時は魔法使いとそうでない者の間に大きな確執があって……


 魔法を使える者はその力を使って莫大な財を築いていき、そうでない者はそのしわ寄せを一方的にこうむっていたのです。


 そんなある日、魔法を持たない者達による暴動が起きました。


 魔法を持たない者達は圧倒的な人数差を武器に攻めていきます。


 しかし、魔法使いだって黙ってはいません。


 互いに互いの命を奪い合って……それはもう戦争と呼べるほど悲惨なものでした。


 始めこそ拮抗していましたが、それはある人物によって魔法使いの優勢へと変わっていきます。


 その少女はずば抜けた魔法のセンスで襲ってきた者を次々と返り討ちにしていきました。


 しかし……。


 ある時から少女の行いは過激さを増していきます。


 無力な人々に対して蹂躙と殺戮を繰り返すようになったのです。


 魔法を持たない者達はその圧倒的な力に成す術もなく降伏を余儀なくされます。


 やがて少女は魔法使いの間で英雄と呼ばれるようになりました。


 それと同時に死神と呼ばれるようにもなったのです。



 英雄であり死神……そう呼ばれた少女はいつしか姿を消して戦争は終結を迎えました。

 

 魔法税が施行されたのは、それから間もなくのことです――。

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