終わり

「ダメ!!」

僕は身を投げようとした彼女に叫びました。

彼女はまだこっちに来てはいけないから。

僕の透明な声は強い風になりました。

彼女は僕の名前を呼びました。

目の前にいる僕に気づいたのだろうか、

そんな気がしました。

彼女は後ろの柵を握って泣いていました。

それを見て僕も泣きました。

僕の涙は彼女の右手に染み込みました。

彼女がゆっくり安全な地面に戻った時、僕は。


空へ引っ張られる感覚がしました。

僕はどんどん空へ昇っていきました。

どうやら、その時が近いようでした。

小さくなっていく彼女に向かって僕は。

「生きて」

彼女は僕の方へ顔を向けました。

そこには泣き腫らした笑顔が在りました。

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生きて。 海鼠さてらいと。 @namako3824

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