第七話
自己紹介ではどうなるかと思いましたが、今ではとても仲良くなり、ルーシア様と呼ぶようになりました。それはリリア様も同じで、私がいるクラス、一の組では普段は貴族的な上下関係はあまり見られません。しかし、新たに出てきた問題が一つ……
「アリシア様はさすがですわね。この学園初の全教科満点。そのような方とご学友になり、勉強も教えてもらえるなんて、私は幸せですわ」
「確かにアリシア様も素晴らしいと思います。ですが、シェリア様はアースベルト家当主としての役割を果たしながらも、テストでは三位と好成績を残しています。なので、シェリア様が一番だと思います。そう思いませんか、ルーシア様?」
「リリア様、確かに、シェリア様は素晴らしい方ですわ。それでも、アリシア様もシェリア様のお手伝いをなさっているとお聞きしています。お二人ともしっかりとした努力をされて実績を残しているのに、一方を一番と言うのはどうなのでしょうか? 私には見当もつきませんわ」
「ぐぬぬ」
「おほほ」
今回はルーシア様が勝利みたいですね。このように、二人は名前で呼び合うほど仲良くなったのはいいのですが、時たまにこのようにして口喧嘩? をするようになってしまいました。それも、内容は全て私とお姉様について。
私は自己紹介の時にルーシア様を庇ったからなのでしょうか。ルーシア様からとても懐かれてしまうようになり、逆にお姉様はリリア様から懐かれています。
そのせいか、どうしてか私とお姉様のどちらが素晴らしいか。そのような議題になり、言い争っているのです。
それは二人だけにとどまらず、教室ではお姉様派と私派の二つの派閥に分かれているのです。表ではとても仲の良いクラスですが、私たちのことになるとなぜか言い争いが……
人数がちょうど半々というのも問題なのでしょう。担任も止めることができず、嵐が過ぎ去るのを待つように言い争いを待つしか止める方法はありません。そうすれば今回のように、相手が反論できなくなり解決します。途中で止めると遺恨を残すでしょう?
人数? わたしたちを含めて30名のクラスで15名ずつですよ? 私? もちろん、お姉様派に決まっているではありませんか。そして、なぜかお姉様とリオン様は私派なのです。おかしいと思いませんか?
まぁ、この話はおいておくとしましょう。そうです。今回、私が止めることができていないのは、この二つの派閥に私もお姉様も、最後の頼みの綱であるリオン様までもが属してしまっているのです。そのため、この学園で教師をしているエリートな担任だとしても容易に止めることはできません。
次の授業のために早くきていた先生が一度話しかければ、「「「先生はどちらが素晴らしいと思いますか?」」」と複数の生徒に言い寄られ、私に視線で助けを求めてきます。
「はぁ、お姉様は爵位も継いで、領地の経営をしています。それに加え、学園にも手を抜かず取り組んでいるのですから、お姉様の方が素晴らしいに決まっています。さあ、先生も困っていることですし、話を終わりましょう?」
私がそういうと、お姉様派の方がウンウンと頷き、先生が目をキラキラと輝かせて見てきます。まあ、これで終わりと思っていたのですが、お姉様とリオン様の二人組が終わらせてくれませんでした。
「それをいうなら、私はいつもアリシアに手伝ってもらっているわ。それに、アリシアの賢さは陛下のお墨付きよ。ねえ、リオン様」
「ああ、そのことは第五王子である私が保証しよう。アリシアは私の父、陛下が素晴らしいと評価したことがある。さらに、アリシアの飛び級試験の内容はこの学園の卒業試験と同じ難易度であった。ということも追加させてもらおう」
このように私ですら初耳なことが投下され、それを元に私派が息を吹き返したように盛り上がり始め、収集がつかなくなり、授業開始の鐘のおかげでその場は解散となりました。が、それ以来、私はこの言い争いに口を出さなくなりました。これ以上二人の口から何を言われるのがわからないからです。
私が平民の出であることを知っている皆さんがどうしてお姉様と同様に私を支持? してくれるのかわからないのですが……
誰か教えてくれる方はいないのでしょうか。
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