第53話:黄金の誘惑、恐怖のお宝ツアー!?⑤

④ピラミッドツアー


「最後はお待ちかねのピラミッド見学ですぜ!」

「「おー!」」

その言葉を待っていたかのようにビターたち一同は歓声をあげる。


「一番のツアーの目玉だな!」

「わくわくですねっ。自分ピラミッド見るなんて初めてです」

「それはメルもだけどー、ピラミッドとかもどうでもいいけど~、まあ、見てあげてもいいわよ」

「そこで待っててもいいんだぞ」

「プレハブ小屋に置いてくんじゃないわよ!」

「キャラメルパークですメルト様」

「じゃあはいどうぞラクダに乗ってピラミッドへ参りやしょう」


先ほどのプレハブ小屋(キャラメルパーク)を出て待機していたラクダに股がり茹だる暑さのなか砂漠を渡る。


「あ! 見えてきた! あれピラミッドじゃない!?」

「マジだ! うおぉー……これがピラミッド……!」


蜃気楼ゆらめく広大な砂漠にそびえる黄金に輝く巨大な三角形……

これぞツアーのラスボス。

その名も、ピラミッド!

……といわんばかりの存在感に一同呆けた顔で近くまで来た建造物を見上げる。


「へええ」

「うおぉ……」

「(ドキドキ)」


うわーとかうへーとか発するビターたちを乗せてラクダたちはそのままピラミッド周辺をなぞるように歩く。

そして見慣れた村が見えてきた。

キャーメル村だ。


「じゃ、一周したんでツアーここまでです。お疲れ様でした~」


ドヒャーーッッ。


ラクダから落馬(駄洒落じゃない)して砂を飲み込む。

「はあああ!? 今なんつった!?」

「えーッ!? 中入らないの!?」


「見たじゃないですかピラミッド。周りぐる~っと。ちゃんと一周しやしたぜ」


「ちゃんと一周じゃねエんだよ! 中! 中は見ないのかよ! ピラミッド内見れなくて何がツアーの目玉だよ!!」

吠えるビター。


くそ~これが激安ツアーか。落とし穴がありやがる!


「ぐるるる」

隣のフィナンシェが歯茎をむき出しにしておっさんに向けている。同じくメルト。威嚇か?

全員から敵意むき出しの視線を受け若干焦りながらおっさんは言う。


「わ、わかりやした。ピラミッド内を見たいならお三方でご自由に見て行ってきてもいいですぜ。ラクダ送迎はプランに含まれてるんでそれ乗ってキャーメル村に帰ってきていいですから」

「置き去りにされてたまるかよ」

「ピラミッド館内の料金は別料金ですぜ。ピラミッド館内にチケット売り場あるんでそこでチケット買ってください。今から行くと夜になるのでナイトツアー料金で多少ふっかけてありますけど」

「ぐぬぬ分かったよ」

「それとラクダたちはラクダ専用駐車場に置いてください。駐車料金は自己負担でお願いしますよ」

「ラクダも駐車場停めるのか!?」

「RP《ラクダパーキング》。一時間八百キャンディーです。時間ごとに加算されてくんで滞在時間とにらめっこして計算してくだせえ」


それじゃ!

ラクダに乗ったおっさんの後ろ姿が高速で消えていった。

残されたビター、メルト、フィナンシェ。そしてまだ働くのかよと言わんばかりに見つめてくるラクダたち。

「もう少しの辛抱ですからよろしくお願いしますね」

「こうなったらチャチャっと見てパパっと帰ってくるぞ。高速でモトとってやる」

「時間にもお金にも余裕ないってやあねえ~」

本当にな!

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