第21話 おはよう

 

 俺はあの日一晩中考えた。だが答えは出なかった。これでいいんだこれで... 

あの時こうしておけばよかったいやすべてが無駄だったんだの繰り返しだ。


 「おっは~」

 「おはよございます」


 いつものように姉妹にあう。こうも登校時間が同じになる事があるのだろうか


 「おはよう。姉妹なのに似てないな」


 「え~どこが~もしかして~から」


 そう言いながら身体をゆさゆさとする。会話の流れを考えてほしいものだ。


 「性格がな」


 姉のニヤニヤが止まらない


 「同じ環境なのにこんなにかわるんだよ」


 「人だからですね」


 普通の度正論を突かれる


 「それにしてもだな」


 「それなら明日みせてあげるよ」


 「何をだよ」

 

 「ひみつ~」


 そんないつもと変わらない日常がスタートしだす。




 と思っていた...



 「おはよう」


 「え?」


 そこにいたのは昨日俺を振ったばかりの後輩が立っている。おかしいよな俺振られたのになぜこの後輩に話しかけられているんだ?


 「鳩が豆鉄砲でも食らった顔ね」


 「下の学年はしっかりと敬語使いなさい」


 「あら、これは優君の取り巻きさんおはようございます。」


 「誰が取り巻きだって?この成長してないのは身体だけじゃないのね。」


 「!!から... あなたこそ身体に似合わず小さい器ですのね」



 「また始まりましたね。」


 「あぁ、また始まったな」


 新学期のように元に戻るかも知らないと思っていた朝だがこの日常は何も変わってなかった。


 「はは、俺昨日友里に振られちまったんだけどな...」


 「そうなんですか!?」


 こんなに驚く妹は初めて見た。


 しかしその驚きは消え、クスッと笑った


 「相当、友里にとって大事なんですね。」

 

 「どういうことだ?」


 「友達の私からいいますよ いずれ分かりますよ。友里のこと」


 「そういうもんなのか」


 「でも先輩は長い付き合いで分かっていると思いますが、近しい関係にも目を向けないと思いますよ。取り返しのつかないことになったりしてね」


 そう言って無邪気なのか小悪魔的なのか分からない笑みをしてこちらに話しかけてくる由姫


 ここで見せるこの顔は由姫の顔ではなく姉そっくりであった。




 「俺はこれまで何を見て知った気でいたんだろうな」


 「しっかりしてくださいよ。せ~んぱい」






 これは俺の知らない由姫だ

 



 

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