第20話 リスタート
人は変化を嫌う。しかし変化し続けるのがこの世のルール一分一秒とて同じ時間になることは決してない。その中で自分から変化を望む。前向きな変化なら躊躇いなくするがリスクがあるとなると途端に踏みとどまるのが人なのだ。
でも今の俺にはそんなものは無かった。この決断は自分ひとりの問題ではないことは百も承知。相手を悲しませるかも知れない。それでもいい。
何故ならこれから先に伸ばすことのほうがリスクが大きく、自分をすり減らしていく。
一刻も早くピリオドを打つ。この狂った恋に
「急に呼び出してすまんな」
「わかるよ。言いたいこと。」
「本当にわかるのか?」
「えぇ、前と同じ優くんもそんな顔するんだね」
友里の目からは光るものが無くなったように下を向く。こんなような人を見るのは初めてだ。
「友里はどんな結果を望むんだ?」
「わからないよ。もう...自分のことがわからないの」
「ねぇ優くんは私の気持ちがどっちにあるかわかってた?」
「正直、選択肢はあるが今はどちらかわからない。」
「そうなの。私もわからないの、でもね、もっと...一緒にいたかったな...ってねバカみたいだよね」
「俺もだよ。もっと君を知って同じ時間を過ごしたかった。けど今日で終わりにしよう」
「わかってた。でもお願い、理由だけ聞いてもいいかな?」
「君のことを知ってしまったからだよ。友里がどんな考えで俺と付き合っていたかってことやどうするつもりだったかを」
「でも私は今の優君がそれを理由にわかれたいって思ってるとは考えられないけどね」
俺は今決意して友里と話している。わかっているんだ、白黒はっきりさせたいと思う自分もいるが今俺の前にいる少女が今俺の考えていることと一致していると思えなくなってきている。
「そうなんだ。これが事実かわからないし、知ってどうこうってことは考えてない...」
「は~それってなんていうかわかる? 優柔不断っていうの!」
「.....ごめん」
「なら私から言うから、」
そう言うと友里は背伸びをして俺の胸元にあるネクタイをもって言いはなった。
「私と別れて!そしてこれからの私を見て!」
最初こそ力強かったが、次第に声も手も震え涙ぐんでいる。
「わかった..いや ど、どういうことだよ。」
「そのままの意味よわかりなさいよ。さよなら!」
そう言って友里は行ってしまった。流れに流されてしまった。
自分はどれだけ不甲斐なく流されやすいのだろう。
結局わかったことは何もなかったし、終わらせたのか?
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