第17話 小さな幸せ 2

 「え?」


 「いやいや、冗談だよ!もしの話をしたんだよ」


 「そ、そそうですよね!」


 やばかった。あまりにも自然な感じで聞いてしまった。俺は何を考えているんだ。こんなこと聞いたら由姫は困るだろう。


 「わた...は...でも...かまいま...」


 「なんかいったか?」


 「い、いえなんでもないです。」


 「由姫って好きな人とかっていないのか?」


 「いるのかな?」


 「なんで疑問形なんだよ」


 「分からないんです。この気持ちが」


 「そういうことか、どんなことで分からないんだ?」


 「ん〜その人のことを意識することはあるにはありますが、緊張することもなく普通に接しているだけといいますか...でも話していれば楽しいんです。」


 「多分分からないって思ってるから緊張することもないし普通に出来るんじゃないか?」


 「そんなもんなんですかね〜」


 そう言って首を傾げる。


 「でも由姫なら心配ないと思うぞ。性格も容姿もいいし、振る奴はいないと思うぞ」


 「そういうもんなんですか?でも私は意識することもないから相手からも意識されないと思うんですよね」


 私は意識してないだけで好きなのか?やはり分からない。どうしたら確かめれ..


そう考えていた時普段は躓く事がないはずの通学路、視界が急に下へ向く。


 「由姫!危な!」


 そう聞こえた時にはもう遅く、体は立て直せなくなっていた。重力のままに落ちる身体、地面に当たるのも時間の問題と思っていた、


 しかし当たったのは地面ではなかった。視界が白く染まる。


 「え?」


 そうやって腑抜けた声をたしだ時目の前に倒れ込んでいたのが優だった。


 少し硬めの身体に顔を上げると顔同士の距離が10センチもなかった。


 「大丈夫か?怪我とかしてないか?」


 「え、うん大丈夫だった。」


 そう言って2人とも静止し続ける。ほんの5秒くらいの時間だったがとても長く感じた。


 「あ、ご、ごめんなさい!いえ、すみません。」


 そう言ってすぐに体を立て直す。


 「謝る言葉がなんで2回なんだよ」


 そう言って優は笑ってこっちを見ている。


 「そういう事だったのね」


 「??どうしたんだ?そういうことって?」


 「い、いえ、なんでもありません!こっちの話です。」


 わかった。でもきっとわかってはいけない感情なのはわかっている。でも意識してしまった。


 「ゆ、優さんは浮気どう思うんですか?」


 「ダメだって否定しなきゃいけないよな。でも難しい問題なんだよ」


 「難しいとは?」


 「どちらかもしくは両方がクズだったら善悪の判断が簡単に着くんだけど、そうじゃない理由があったらって考えると否定できないんだ」


 「つまり優さんは反対はするが、時と場合によっては肯定するってことですか?」


 「声を大にしていいたくはないがな」


 「浮気ものですね。でもそんな優さんを最初も言った通り避難はしません」


 「褒めてるのか貶してるのか分からんな」


 「でも良かったです!」


 そう言って今までにない様な笑顔を見せる由姫。その笑顔を見ると何かから救われた様になる。


 「良かったってなんだよ笑」

 

 そうやってバカな事を言い合えるその時何も緊張することなく話せるって


 幸せなことなんだな


 そして、由姫は笑顔のまま続ける。









 『お相手は姉さんですよね』


 






 

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