浮気ってダメなんですか？

第14話 引き返せない

　「おはよう」

　「おはよう　今日は元気だ...え？」

　「友里なのか？」

　「そうだよ？どうしたの？」

　「いや、言い方が急に変わったから」

　「そろそろ付き合って月日も経つんだからそろそろ敬語やめよっかなって」

　「嫌だった？」

　なんだこの上目遣いは、全てを無に返してしまうような笑顔。

　「かわいい」

　「え？」

　「いや、今のは勝手に出てしまってな、嫌じゃないよ嫌じゃない」

　「今可愛いって私を呼ぶ声したけど、あ、優おはよう」

　そう言って後ろから高田姉妹が来る。

　「いつから可愛い＝お前になった」

　「え〜違うの？こんなに可愛いのに偏差値は70はあるよ？」

　「げ！」

　「げ！って何よー優をよく知る仲じゃない、でも私の方が可愛いけど」

　「そんな仲じゃありません。あと可愛さとか比べる物じゃないです。」

　「姉さんあってすぐに突っかかるのやめてよ」

　「優は大変じゃなかったんですか？こんな幼馴染で」

　「まー慣れかな？」

　「私は絶対に慣れはなんてムリですね」

　まー無理そうだな妹はともかく姉とは気が合う奴少ないからな

　「ねぇ〜優今日一緒に帰ろーよ」

　そう耳元で由真が言ってくる。

　「どう言うつもらだよ。そんな大胆なことできるわけないだろ」

　「いいの！話があるの大事な話」

　「わかった、本当だろうな今回だけだぞ」

　「何2人でひそひそ話してるんですか！」

　「2人だけの秘密のは・な・し」

　「ち、ちげーよ。テストの話だよ！」

　「も〜友里ちゃん〜嫉妬ってやつ〜」

　そして友里はモジモジしながらうつむきながら恥ずかしそうに言う。

　「し、嫉妬ですけど...ダメですか！」

　なんだろう、あの喧嘩の仲直り以降友里がどんどん可愛くなっていっている気がする。

　このまま何も知らずに流されたい

　「もうやめてって言ってるでしょ！ごめんね姉さんが」

　「もう、学校か」

　なんかあっという間だった。ここになんの関係も無ければ楽しかっただろうな。

　友里には放課後用事ある事にして由真に会いにいく。何を話すのだろうか、大事な話ってなんなんだ。やっぱりこの前の事なのだろうか。

　「来たな！優！」

　「来たな！ってお前が呼んだんだろ。」

　「さ、帰るぞ　そして話をするぞ」

　「そうね、あとこっち向いて」

　「なんだよ、ん？」

　そう言って振り向いた刹那に由真がキスをしてくる。そして舌を入れてこようとする。

　そして俺はすぐに離れる。

　「おい！何するんだよ。ここは学校だぞ！」

　「へ〜学校じゃなければいいんだ。」

　「そう言う事じゃなくてだな」

　「いいのいいの。小さいこと言ってるとモテないよ」

　「付き合おうって言ったやつの言うセリフかよ」

　「大事な話ってなんなんだよ。まさかこれをするためだけに呼んだんじゃないんだろうな」

　「え？言わなかった？」

　「は？大事な話があるって言ってただろ」

　「あるよ！よし一緒に帰ろ〜」

　「話が噛み合ってるのか？会話成立してるのか？」

　そう言って俺たちは歩き出す。いつも変だけど今日は特に変だな。

　「そろそろ話してもいいんじゃないか？」

　「なんのこと？」

　「まだとぼけるのかよ。大事な話だよ」

　「あーそれね。ないよ！」

　「へ？ないのに大事な話があるっていったの？」

　「そういうわけじゃないよ。私にとってはこの時間や会話が大切な物だよ。」

　「私と一緒に帰ったら話したくない？」

　「その質問はずるいってこと知ってて言ってるよな」

　「うん！でも優なら嫌だって言わないって知ってるよ」

　「それはわかったとして理由もなく...」

　「優と一緒にいたいっていう理由じゃ足りない？」

　「あーもうわかったわかった」

　「私は今の優の方が好き」

　「な、なんだよいきなり気持ち悪りぃぞ」

　そうやってクスっと笑う。いつもの由真とは違うお淑やかに笑っている。由姫に似ているな。やっぱり姉妹なんだよな。これが由真の素なのか？こんな表情見ることは一度もなかった。

　「なんか友里ちゃんといる優を見てれば、嫌われないようにとか出来るだけ紳士でいようっていうオーラが出てていつも一歩引いて会話してるみたいに見えるの」

　「由真には俺がそう見えるのか」

　「やりづらくないの？表面上では距離がないみたいに見えるけど、心の距離はあるって」

　「あんまり意識して考えたことがないや。いずれ慣れるだろーって思ってる」

　「ダメ！なの、私が決めることじゃないけど、どこかで必ず今の優を必要としてる人がいるから...」

　「って何言ってるんだろうね。私」

　「なぁ、由真はこれが素なのか？」

　「どうかな、どっちが私なのかな。人のことは散々一丁前に言うくせに自分はわからないって変だよね。」

　「それが由真の素だよ。周りに聞いたり、自分で考えてもわからないよな、答えも出せないよな」

　「じゃー俺が由真の本当の気持ちを証明してやるよ。誰もわからないって言うなら俺だけは理解してやるよ」

　そう言うと由真は泣いているのかわからないような量の涙を目に含ませて笑いながら答える。

　「そんな彼氏みたいなこと言うなよ。私にベタ惚れじゃない」

　そう言い切ると由真の頬に涙が流れる。

　「そのセリフお前が言うのかよ。どっちがいいのやら」

　「ねぇ優、もう一回キスして」

　「なんだよ急に、いつもは聞かないで無理やりするだろ」

　「否定、しないのね。もう貴方はクズね」

　そう言って俺たちはキスをした。いつもは受け入れられないこの状況だが、身体が、心が受け入れていく。これが惹かれるってことなのか。それとも堕ちていくのか。

　たった数回の会話、接触で拒絶できなくなっていく。

　「今度は優から求めてね。」