第12話 心の矛盾 後編
「???」
何を言っているんだ?つまり別れろってことか?
「よくわからないんだけど」
「だから!私と付き合うのよ!2度も言わせないで」
「やっぱり倫理とかないのか?」
「私と浮気するってことよ」
「サラッと人として最低なこと言ってる自覚あるか?」
「それ以外はないのか?俺は嫌だぞそんなの」
「優は私のことは嫌なの?」
「嫌って言うのじゃなくてな、付き合うって好きな人同士だろ」
「好きなの?嫌いなの?」
「ずるい質問の仕方だな。強いて言うと幼馴染として好きだ」
「あっそ、私は好きだよ。優のこと」
「どうせお前も俺と同じのだろ」
「いや、異性としてだよ」
「な、なんだよからかうなよ、笑えないぞ」
そう言った瞬間だった。前のように押し倒された。由真の顔に曇りは無かった。でも聞き返してしまう。
「お前本気なのかよ。慎重に人を選べよ。」
「私は優がいいの。優じゃなきゃダメなの。証明、しようか?」
「証明ってなんだよ」
そう言った瞬間だったさっきとは違う柔らかさ。唇に刺激がはしる。友里とは違って無理やりのようにそして貪るように、何が起きたか理解が追いつかない。
俺は振り解こうとした途端だった。初めての感覚だった。口の中に人肌が入ってくる。途端に由真の肩に手を置くと動きを止めた。
由真は震えていたのだ。あの由真が何故、そう考えているのもつかの間意識が口へと移る。
初めてだ人の舌の感覚。自分で噛んでみても噛まないだろと思うのだが、人の舌だとすぐに噛みちぎる事ができる柔なさ、独り身だと一生わからない感覚だ。
そして由真は顔を上げた。その顔は紅くとろけきっていてそれでも本気の表情だった。意識した事なかった。俺の幼馴染はこれほどまでに女性として魅力的なのだと。
「わ、わかったでしょ。私は本気なの」
「そして私の目的は優を手に入れる」
そして由真は震える声で言ってくる。
「私は優の復讐にも協力する。その為なら女心でも知識でも身体でもなんでも払う。だから、だから、私を選んで!」
「俺には選べな!!」
またもや強引に唇を奪われる。
そして由真は涙を流しながら言ってくる。
「選ぶって言うまで...言うまで!私は!私は...」
「あなたは悪くない!全て私が悪いの!嫌がる優を無理やり私がそうしたの。私が強引にあなたを手に入れる為になったの。あなたは被害者なの」
「あなたがふられようとも周りから蔑まれようともこの世から見方がいなくなろうとも。私はあなたを選ぶ。だから...だから」
だんだんと声が小さく震えていき声にならない声で訴える。
俺は拒絶するべきなんだ。しかしできないこれほどまでに弱ってるような人を見過ごすことはできない。純粋な悪人になれたらどれほど楽なものか。
「そう言うことなんだな。俺は何色にも染まっていない。半端者なんだな」
「俺は容認も拒絶もできない。それは由真ならわかるはずだ。」
「なら由真なりに俺を染めてくれ、半端な俺を何者かに」
そう言うと由真は泣き笑いのような笑顔になる。
そして今度は俺が由真の唇を優しく奪った。
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