第9話 ケンカ

「でさ、昨日もお母さんが学校どうって聞いてくるの最近毎日ですよ!」


 「お母さんも友里のことが心配なんだよ」


 「でもですよ。毎日聞かれたってそんな毎回変わったこととかあるわけないじゃないですか」


 「他干渉し過ぎも困るよな」


 「でも俺も結構干渉されることあるんだよ」


 「勉強時間とか由真ちゃんの方が多くやってるから優もやりなさいとか」


 「先輩ってどうしてそんなに由真さんたちの事言うんですか」


 そう言ってちょっと睨みつける様に話してくる


 「え?いや親同士が仲良しで結構絡むことが多くてな」


 「そう言うことを言ってるんじゃありません!」


 「じゃ、じゃーどう言うことなんだよ」


 「まだわからないんですか?」


 「すまん」


 「もーどうしてわからないですか!彼女の前で他の女の話をしないでください!」


 「元彼だってそんなことしなかったですよ!」


 「そんなに言うことないだろ、それに友里も今元彼とか出してきたし」


 「!!!もう先輩なんて知りません!」


 「おい、待てよ」

  

 そう言って止めるのも遅かった。友里は走って帰ってしまった。


 そしてその日の夜は連絡が来なかった。


 次の日次の日と1週間話さなかった。


 

 「なぁ、ちょっと相談いいか?」


 「なんですか?姉さんなら今お風呂入ってますよ」


 「い、いや風呂とか由真はいいんだよ!由姫に聞きたいんだ。」


 「ん?私にですか?」


 「そうなんだ。友里の事についてだ」


 「そういうことだったんですね」


 「そういうことだったとは?」


 「なんとなく彼女の様子を見ていましたが少し不自然でしたね」

 

 「なんかあったんですか?」


 「あーこの前なんだけどな....」


 そして俺はことの経緯を由姫に話した。


 「そう言うわけだったんですね」


 「そうなんだ。ちょっとカッとなってしまってな」


 「わかってるんだ。俺が悪いんだ。でもどうして話したらいいのかわからないんだ」


「そんなの簡単ですよ。優さんがそのままありのまま謝ればいいんです」


 「そのままでも問題は普通に解決します。でも同じ問題にあたった時そのままじゃダメですよ」


 「そのままってどういうことだ?」


 「優さんこの問題の落ち度の割合はどのくらいだと思いますか?」


 「そりゃ俺の方が8割9割だろ」


 「そう考えても不思議ではありません。しかし少しは疑うことも大事です。優さんだけが謝れば済む問題だと考えてるとまたすぐに同じ問題に直面します。」


 「そういうもん、なのか」


 「優さんは優しすぎるんです。そのままだといずれ潰れてなにを信じればいいかわからなくなりますよ」


 「そうなのか。肝に銘じておくよ。」


 「今日は相談乗ってくれてありがとな。由姫に相談してよかったわ」


 「それはよかったです。」


 「じゃ!おやすみ」


 「明日頑張ってくださいよ」


 そう言って由姫との会話は終わった。正直に言うと後半の由姫の言葉はいまいちわからなかった。でもそういう経験はしたくないと本能ではわかっていた。




 そして朝起きると由姫からメッセージが来ていた。その内容はとても単純で普通の質問だった。しかし何かが引っかかった。


「優さんはどうして友里ちゃんと付き合ったんですか?」

 

 思い出せないあの時の自分の感情を...

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