第6話 デート
午前10時40分家からは2kmのショッピングモールで俺は友里を待っていた。彼女との初めてのデートでもあり人生初めてでもある。待ち合わせは11時だが初めてはきっと20分から30分前に来てしまう。これは普通なのか俺だけなのかは分からないが胸が高鳴っているのはわかる。
まず会ったら容姿を誉めるってネットに書いてあった。そしてあの伝説の台詞を言うんだ。
「全然待ってないよ。今来たところ」って
10分前だそろそろか。そう考えて深呼吸をする
そして10時55分に友里はやってきた。
「すみません!待ちましたか?」
「全然まっ」
言いかけた途端に友里が話し始める。
「15分待ちましたね」
友里は無邪気な笑顔でそう言ってくる。
「え?なんで分かったの?」
「先輩のことだから20分から30分くらい前にはいると思いまして、ちょっとそこの影から見てました。」
「それで先輩!先輩!凄くキョロキョロしてましたよね?そんなに緊張してました?笑」
「そ、そりゃ緊張くらいしたっていいだろ。友里は緊張とかしないのか?」
「私だって緊張しますよ!でもこうやって先輩をからかって誤魔化してるだけです。」
そう言って上目遣いで見てくる。これは反則だろ!俺の彼女可愛すぎだろ
「そんなのはいいんだ。その服似合ってるな 前買ったワンピースじゃないんだな」
「あ、ありがとうございます。ワンピースはまだです。季節もありますが先輩にだけ見てほしいので...人目につく所では...」
俺の心臓がモロすぎる。一言一言でドキドキする。今日一日もつのか?
「では!行きましょう!」
「そうだな」
そう言って俺たちは歩き始めた。
最初に行くのはやっぱり服屋だ。
「先輩!チョイスいいですね。そんなに私を先輩好みに染めたいんですか?笑」
「いちいちからかってくるなよ。いつもは制服しか見ないからいろんなのが見てみたいんだよ」
「も〜先輩素直になってもいいんですよ〜」
「あ!もしかしてそのまま流れで下着まで選ぶんですか!?まだ気が早すぎますよ!」
「な、!俺はまだ何も言ってないだろ。」
「まだってことはいずれ選ぶんですか〜?」
「ち、違う!もうからかうなよ!」
「あはは!ごめんなさい!ちょっとからかい過ぎました。ちょっと可愛かったので」
「一応俺の方が先輩なんだぞ!」
「恋愛に先輩後輩なんて些細な問題ですよ。」
「あ、この服とかどうですか?」
明るくヒラヒラした服を着てきている友里が落ち着いた服を選ぶとさっきまでの無邪気さが消えて、より一層美人に見える。
「似合うと思う。」
「えーそれだけですか?じゃー!先輩は落ち着いた清楚な感じの女の子と明るくカジュアルな女の子どっちが好きですか?」
「うーん強いて言えば清楚系かも知れないでも無邪気に話しかけてくるタイプも捨てがたい。」
「間をとって清楚系の服を着ていながら、明るい女の子とかいいんじゃないか?」
「そうですね!ではこの水色のがいいですね。落ち着いて涼しげな色で身体のラインがしっかりとわかる!」
「では試着して来ますね!」
「あ、あー待ってる」
女性用の服屋で男が待ってる光景なんか緊張するし場違い感がある。いやいやこれは彼氏の特権なんだよな。
そうやってしばらく待っていると、
「先輩!どうですか!」
俺はしばらく固まってしまった。友里が大人びていてそれとなく高校生感を思わせる様な口調が相まって見惚れてしまった。
「似合ってる。」
出て来たのはその一言だった。
「わ、わかりました。ではこれ買います...」
いつもはからかってくる友里だが今回は違った。顔を赤くして、直ぐに試着室を閉めてしまった。
「先輩!見過ぎです!そしてあの語彙力はなんですか!」
「すまん。見惚れてたわ、言葉があれしか出てこなかった。」
「い、いいです!そんなの言わなくても見ればわかりますから!」
「そろそろお腹空かないか?」
「そうですね。もう12時30分ですし何か食べましょう!」
「あのパスタの店にしないか?」
「いいですね!あ、やっぱり先輩!行き先とかどこで食べるとか初めてのデートでやってはいけないこととか調べてましたよね?」
「い、いいだろそんなことどうでも」
「先輩はわかりやすいですね!」
「食べるぞ!」
「はぁ〜い」
そして俺たちは食べ始めた。
「先輩って中学とはどんな感じだったのですか?」
「どうって言われても普通に義務教育を受けて卒業して進学して来た。」
「そんなのは普通に知っていますよ!」
「私が知りたいのはどんな人と関わってるかとか、ここの高校って偏差値意外と高いからどんな勉強をして来たとか、そういう事です!」
「うーん、友達はそんな多い方でもないし、幼馴染が結構突っかかってくる感じだな。勉強はその幼馴染に教えたりしてたせいか自然とついて来た」
「ふ〜ん、その幼馴染ってどんな人なんですか?」
「友里も知ってるだろ由姫とその姉だよ」
「由姫ちゃんは知っててもお姉さんは知りません!」
「それもそうだな。由真は昔から無邪気で静かな妹とは違って落ち着きがない。そして最近いつもに増して何を考えてるか分からない。」
「何を考えてるとは分からないとは?」
そう言われた瞬間脳裏に思い出す友里と電話していた時の事を
「い、いやこの話は良いんだよ!変なのはいつものことだから!」
「ふぅ〜ん あまり詮索はしませんが、私といる時は私だけを見ててくださいね!」
少しジト目になりながら言ってからまたいつもの笑顔に戻った。
しかし最後の笑顔は作り笑いだったと何を思ったのか分からないがそう見えた。
それから食べ終わりゲームセンターを回ったり、アクセサリーショップを回ったりしてそろそろ帰る時間になった。
そして帰り道
「今日は楽しかったな。」
「そうですね!今度またデートしましょうね!」
「なぁーここの公園ちょっとやろうぜ」
「?いいですけど、」
「ここの公園がなんかしたんですか?」
そして俺たちはブランコに腰をかけた。
「なんもないよ。ただ友里に聞きたい事があってな」
「何ですか?」
「友里はどうして俺を選んだんだ。」
「好きだからです。人って人を知れば知るほどその人に興味が湧いてくるんです。高校生になって先輩を知って、今までにないものを感じました。」
「今までにないもの?」
「それは嘘かも知れませんでも信じたいんです。他の人とは違うところを。」
「わからない。俺は何も特別じゃないし、どうして友里みたいな可愛い人と付き合えたのかもわからない。」
「先輩!人の魅力は人それぞれです。私は容姿に恵まれたかも知れません。でも先輩は恵まれてないというわけではありません。絶対にあります!皆が羨む様な事。」
友里が後輩なのに大人に思える。そうか俺はまだ子供だったのか、俺より友里の方が今までの15年をしっかり考えて生きてきて努力してここにいるんだ。
「ありがとう。自分に自信がつけたよ 後輩に慰められるってなんかむず痒いな笑」
「いいんですよ!たくさん甘えても私の彼氏の特権ですから!」
「俺も目標見つけたよ」
「?何ですか?」
「内緒だよ今は、それが実現できた時俺は友里に伝えるよ。」
友里の隣に立っても俺の方が周りから魅力的に見える様にそして...
本当の意味で友里を惚れさせる。
「さ!俺の悩みも吹っ飛んだし帰るか!」
「え?なんか自己解決みたいですけど!」
そして友里は電車に乗り俺はそれを見送って帰った。
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