第5話 家族水入らず?2
「今日は高田さん家これからどうするの?」
普通は家に帰って寝るだけだんだよな。なんて意味深な発言なんだ。
「明日って土曜だから仕事も学校もないわよね?どう?家?久しぶりに」
なんだと。俺は帰ってから彼女に弁明とその後にゆっくり通話っていう予定がびっしりなんだぞ。
「行きます!」
「私はどちらでも」
「つまりみんな行くってことね!」
何故だろうか。昔はなんの抵抗もなかった事だがもう高校生となるとむず痒い、でもいいか自分の部屋にいれば変わらないか。
風呂に入った後に俺は友里に連絡する。
「今時間大丈夫だよ。」
2分ほどしたら電話がかかってきた。
「もしもし、先輩言うことはありませんか?」
「あれはだな、高田家とは昔から家族絡みでああいった食事が時々あるんだ。」
「わかってます。由姫ちゃんから聞いています。ですが!他の女の人と関わる事があるなら事前に行ってください!事後報告は全て言い訳になります!」
「すまん」
「わかればいいです。それより先輩!先輩!私新しい服買ったんですよ!」
そう日常的に会話になろうとした時俺の部屋のドアがゆっくりと開く。そこにはニヤッと不敵な笑みを浮かべながら静かに近づいてくる風呂上がりの由真。そんな由真が小声で
「大きな声出すと彼女さんにバレますよ〜食事は許してもらえても家は許してもらえらとは思えません」
そう言いながら電話に顔を近づけ話を聞いてくる由真
「あ、そうなんだ。どんなの買ったんだ」
「白のワンピースです!シンプルな皆もちそうですけど、やっぱり夏が近づいてくると着たくなるんですよ!」
「友里のワンピース見てみたいな〜今度一緒にデートしようよって言って!」
耳元でワクワクしながら言ってくる由真
「言わないと叫ぶよ笑」
「今度友里のその姿見てみたいな。今度デ、デートでもしないか?」
なんとも不自然な言い方だ。少し取り乱しているのがわかる。そしていくら由真でも同学年の女子だ。風呂上がりのせいかいい匂いがする。
「はい!今度行きましょう!先輩からはなんか無いですか?」
「なんかってなんだ?」
「私だけ話しても私はつまらないです!先輩の事ももっと知りたいです!」
「俺は特にないんだよな〜」
また耳元で由真が言い出す。
「あるじゃないですか〜今隣にクラスメイトの女子がいるって〜」
「じゃー先輩は!私のどこが好きですか?」
ヤバい流石に由真の前で惚気話はしたくない。しかし答えないのも問題だ。俺はなんで状況にいるんだ。
「電話では言えないな。直接言いたいんだよ」
「ん〜センパイ!大好きです!えへへ」
「あぁ、俺もだ。今日も遅いし友里も早く寝ないとな、せっかくいい顔立ちしてるんだから」
「はい!ではまた明日」
「また明日」
そう言って電話を切る。そしてこれから話すべきなのはこの人物由真だ
「由真言うことがあるんじゃないか?」
「え〜?先輩!大好きです。笑」
「おい!誤魔化すな!」
「優ってさ、推しに弱いよね?」
にんまりとしながら近づいてくる。
「何だよ。急に」
「もし、友里ちゃんが優に告白される前に私が優のこと好きって言ったらどうなってたの?」
「そんなのどうもないだろ。お前は幼馴染でそれ以上でも以下でもない。なんとも思わない」
「ふぅ〜ん そうなんだ。じゃー何されてもなんとも思わないんだ」
なんだ由真の様子がいつもと違う。戻ってくれよ!どうしてしまったんだ。
ん!!!
一瞬何をしたのか分からなかった!ただ今の状況はまずい。 俺のベッドに由真が俺を押し倒している。
「おい!いきなり何をしてんだよ!」
「しっ!静かにしないと皆気づかれちゃうよ?」
「お前はそんなやつじゃなかっただろ」
ヤバい、何がヤバいって由真が近い、風呂上りのせいで匂いいい匂いが目立って、そして服装がラフなせいで胸元がゆるくなってる。
「あなたはまだ何も染まってない。未熟なの。でも成長しきるまで時間はもう少なくい。」
「何を言ってるんだ。お前変だぞ!」
「私は知ってるの優のこと。優は気がついてないと思うけど、私から見ればすぐわかる。」
「何をわかるんだ。何を言っているか全く分からない!」
「すぐにわかるわ、そして凄く悩むと思うの。一つだけヒント教えてあげる!優は推しに弱い。それだけ!」
そう言って由真は立ち上がった。
「じゃーね!」
ニコッといつもの由真のように満面の笑みで部屋を出ていく。
俺は何も言えなかった。由真が嘘をついているようには見えなかった事だ。
由真のこのような様子は見たことがない。昔からそうだったのか?それとも最近からなのか?俺は周囲を見る能力は他の人よりもあるが人の感情などの中身を見るのは苦手な方だ。由真のことを昔から知っているように思ってたけどやっぱりわからない事も多いということか。
そして由真は部屋に入ってくる時扉をしっかり閉めたはずなのに出ていく時は少し空いていたことは見えていた。
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