第2話 仮面の後輩
翔夢は授業中もずっと精神具現化現象について調べていた。
だが、手がかりは何もなく放課後を迎えた。
チャイムと同時に体育館に向かった。
部活の終盤。
翔夢は体育館の中を他の部員と走っていた。
体育館の端を一瞬見ると、そこにはいつものように女子が何人か集まっていた。
そしてその中に――半透明の仮面をつけている女子がいた。
翔夢は思わず足を止めて見てしまった。
「翔夢がよそ見なんて珍しいな。ついに翔夢目当てで来る女子の中にいい人を見つけたか?」
後ろから速度を落として話しかけてきたのは同じクラスで友達の
「いや、顔は見てないからかわいいかはわからん。それに俺が見ていた女子は俺目当てじゃないと思うぞ」
半透明の仮面をつけた女子は何人かの友達と来ているようだが、一人だけそっぽを向いていた。
部活が終わった翔夢は急いで制服に着替えて、友達と別れた銀髪ボブの仮面の女子に話しかけた。
「なぁ、突然なんだけどその仮面って本物じゃないよな?」
「え、先輩この仮面が見えるの?!」
――ビンゴ。
「俺と君以外には見えていない感じか?」
「はい。あ、私一年の
そう言ってニコッと笑う彩花の仮面は僅かに薄くなった気がした。
「場所を変えてその仮面について話さないか?」
「はい。いいですよ」
二人は学校を出ると近くのファミレスに入った。
「その仮面っていつから見えるようになったんだ?」
「今日の朝からです。最初は学校に行くか迷いましたけど、写真にも鏡にも映らないし私以外には見えないから行くことにしました。見えたのは先輩が初めてですよ」
「咲絆と同じタイミングに起こってるな。本当に咲絆の爆弾といい、なんで俺は見えるんだよ」
「他にもこの半透明の現象が起きてる人がいるんですか?」
翔夢は精神具現化現象と咲絆のことを話した。
するとちょうどそこに話していた咲絆と真姫がやってきた。
二人がやってくると彩花の仮面は僅かに色が濃くなった。
「この人達は?」
「こっちが話した咲絆でこっちが頭のいい真姫先輩。俺達三人は精神具現化現象を解決するために調べているんだ」
「翔夢の言う通り本当に仮面をつけた女子高生だ」
「咲絆先輩、私の仮面見えるんですか?っていうか私も咲絆先輩の爆弾見える」
どうやら精神具現化現象は自分にしか見えないものじゃなさそうだ。
「なんで三人は見えていて私には須賀さんの仮面すら見えないのよ」
未だに見えていない真姫は眉をひそめていた。
「何かしら条件があるんじゃないんですか?」
「それも調べる必要があるわね」
二人がドリンクを持ってくると早速情報共有した。
「つまり精神具現化現象で現れたものはある条件によって透明度が変わるのね」
「多分それが分かれば私と彩花さんの解決の糸口になるんじゃない?」
それから意見を出し合ってタイムリミットが明確な咲絆よりも、いつまでに解決すればいいか分からない彩花の精神具現化現象を解決することにした。
「じゃあ当面の間は翔夢君、あなたが須賀さんの傍にいて解決方法や変化を見つけなさい」
「え、なんで俺なんですか?!」
「あなたが透明度の変化を見たことがあるからよ」
こうして翔夢はしばらく彩花と行動を共にすることになった。
「よろしくね、先輩」
「彩花さん、翔夢に変なことされたらすぐ言ってね」
「しねぇよ」
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