9歳 授与式②
緊張している私を先頭に横にディー、後ろに3人が並んで王座の前へと進んでいく。
あれが噂の賢者とか、ディーの美貌についての感嘆の声が漏れたりガヤガヤとしている。
「流石に大勢の前だと緊張するよね」
「リゼルは堂々としてれば良いのよ、それだけのことをしてきたんだから自信を持ってね」
陛下が座る王座の前に進み膝をつき、陛下の声を待つ。
「この度は二代目賢者として鑑定され、王国への多大な貢献を現在もしているリゼル男爵家に王家より家紋を授与することとする。家紋の授与は実に久しぶりのことだ。それだけ賢者の知恵は王国ならび各領地に多大な繁栄を与えてくれている証でもある」
陛下のお言葉の後に家紋の入った紋章旗が披露される。
中央に泉から湧き出る杖が配置され、その横に白い狼と白いグリフィンが書き込まれた独創的な紋章旗になっている。
「この紋章旗は皆も知ってのとおり、リゼル卿が広めた温泉と賢者の杖を中心に配置してある。その横にはリゼル卿の契約している大精霊フェンリルと聖獣グリフィンをモチーフにしている。リゼル卿よ、大精霊と聖獣を皆に見せてもらえないかな?」
陛下はニヤリとした表情で私に話しかけてくる。閣下は横で”頼むぞ!”という目力を発揮している。
「グリフ、フェン出ておいで。大人しくしていてね」
私の横にグリフ、ディーの横にフェンを召喚する。
グリフは甘えたくて仕方ないのを我慢しているようだ、帰ったらいっぱい遊んであげよう。
王座の間では初めて見るであろう二匹に驚きの声が上がる。隣国の使節団からは動揺のような声が聞こえる。
”あんな少年が二匹のモンスターを使役することができるのか!?”
”あれが噂の聖獣か…美しい”
”王都で話題の聖獣を見れることが出来た!”
ざわつく場を閣下が手を叩き、一同を静かにさせ自分を注視させる。
「過去に通達した内容のことだが、見ての通り聖獣と大精霊を友とする賢者リゼル卿とその家臣団は王国に出現した魔族を追い払った。しかし、これからも魔族の復活は考えられる。建国の歴史より我が王国は魔族と再び対峙し封印し国民を安心させる必要がある。リゼル卿には二代目賢者として王国より魔族の征伐・封印の命を下す。魔族討伐用の特別小隊を編成する許可を与える。各家はリゼル家の紋章旗がある場合は協力を惜しまぬように通達をする」
再びざわつく王座の間。そこに陛下が立ち上がり皆に話し始める。
「いずれ魔族の復活は王国だけの問題ではなくなる。今の段階ではラビウス王国一丸となって対応しなければならない!我らの初代が成し遂げた歴史を再び、我々の時代で伝説を成し遂げるのだ!」
おお!!という喚声が上がる
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