魔族出現 その後②
あれから一ヶ月、夏休みを終え学校が始まる。
普段どおり授業を進めながら日々、修行の毎日。
屋敷に突然の来客がやってきた。
「リゼル様。ドワーフの里からドワーフ族がやってきておりますが…応接間でお待ちしてもらっています」
イワンが私に報告をしてきた。ドワーフ族??どうして??はてなマークが頭に浮かぶ。
「とりあえず、あってみよう」
応接間に2人のドワーフが立っている。私の身長と同じくらいだがガッチリとした体つきで立派な髭を全員蓄えている。
「はじめまして、リゼル男爵家当主のリゼルです。ようこそ遠いところからお越しくださいました」
「おーあなたが噂の賢者か!!公爵殿から手紙が届いたから急いでやってきたぞ!!」
「閣下からの手紙でですか?一体何が書かれていたんですか?」
「な〜に、初代賢者殿について何か記録に残ってないかって書いってあっただけだぞ。初代賢者殿にはドワーフ族は返しきれない恩義がある。歴代の長老が口をすっぱく言い続けてきたんだ、賢者が現れたら命をかけてでも恩を返せってな。昔、魔族にドワーフ族の集落が襲われたときに救出に来てくれたのが初代国王陛下と初代賢者殿だ。それに魔族を封印してからも集落の復興に力を貸してくれてな、今の里があるのはあの2人のおかげだ」
「そうなんですね。初代様と私は別人ですから恩を返すと言われましても…」
「ダメだ!ドワーフ族は借りた恩は返す!!お主の力になるために腕利きの俺たちが里を代表してきた!俺が里で一番の戦士のグロー、こっちが里一番の鍛冶師のオーリだ。見ての通り身長は人族に比べれば小さいがその分、体は頑丈だ! 賢者を守る盾になるのが俺たちドワーフ族の役目だ! 俺の腕とオーリの鍛冶技術は必ず役に立つ!嫌と言ってもついていくからな!」
「グローさん、オーリさん。いきなりそう言われましても閣下に一度ご報告をしなければなりません。私だけの一存では決めかねます」
「おう、いいぞ!長老から公爵殿宛の手紙も預かってきた。今から城へ行って渡してくるわ。今日は顔を見に来ただけだ!ちなみにオーリは無口だが気にするな!良い武器を見たときは饒舌になるからよ。また来るからよ、そんときは酒を大量に用意しといてくれ」
言いたいことを言って屋敷を後にする2人。
「イワン…ドワーフ族ってみんな、あんな感じなのかな? おしゃべりなのかな?」
「噂程度ですが本来は口数少ない方が多いと言われておりますが…随分と饒舌な御方でしたね」
「きっと、あの2人は屋敷に来るよね??」
「閣下宛の手紙と言ってましたからそんな気がします。お酒と食材の用意をしておきましょうか?」
「うん、そうだね…準備の方をお願いします。どのくらいお酒飲むか見当がつかないから大量にお願いね」
翌日…グローとオーリが屋敷に再びやってきた。
「賢者よ、閣下の許可はおりたず!!これから世話になる、よろしく頼む!!」
グローとオーリがペコリと頭を下げる。
「え!?どういうことですか?許可がおりたとは?」
「すまんかった、これ閣下から預かっておったんだ」
閣下から私宛の手紙を渡される、中には断れないからよろしく頼むという内容が書かれてあった。
「うん、わかりました。これから客人として扱いますので部屋など用意させますね。オーリさんは鍛冶職人であれば工房の施設が必要ですよね??屋敷内に作りましょうか?」
「頼む」
「では、後ほど執事のイワンにどんな物が必要か言って下さい。屋敷には土魔法と水魔法の使い手がいますので鍛冶の音を抑える土壁の小屋も作ることが出来ますから」
「助かる」
「グローさん、オーリさんの部屋を準備させますので必要なものがあったらメイドに伝えてください。夕食までまだ時間がありますので、屋敷自慢の温泉で疲れをとってください」
「なんと、温泉があるのか!? 俺たちは酒と温泉に目がないのじゃ!! 早速入らせてくれ!!」
その日の夕食
「ちょっとリゼル!なんでドワーフ族がいるわけ!?」
「なんじゃいエルフの小娘。賢者の役に立つために里から来たんだ、お主に文句を言われる筋合いはないわ!」
「わたしがいるから、あなたたちは里に帰っても良いわよ〜リゼルが酒臭くなったらどうするの!」
「何言っとるんじゃ!酒は命の水じゃ!! ドワーフ族の長生きの秘訣は酒にある。帰れと言われても帰らん!!嫌ならお主が帰ればよかろう!!」
「まぁまぁ、出会ってすぐに喧嘩は良くないよ。本で読んでた通りにエルフとドワーフは仲が悪いだね〜。これから一緒に行動するんだから仲良くお願いしますね。今日はディーの好きな料理も用意したんだし、グローさんたちには美味しいお酒を用意したんだからさ。楽しい夕食にしよう!皆を紹介するね」
私の物語にドワーフ族の仲間が加わった。
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