魔族出現 その後③


翌日、あれだけお酒を飲んだのにケロッとしている2人が立っている。ロンザは二日酔いでダウンしている。


「昨日は良い酒だった!さっそくオーリの作業場を作ろうと思う。ロンザが手伝ってくれると昨日言ってくれたしな」


「そうだね、ロンザが復活したら作業開始しよう。うちは魔法使いが多いし小屋を作るのはいつも魔法で作ってるから要望があったら言ってね。鍛冶用の炉の作り方とかはわからないから指示を出してね」


「承知」


「ところでグローはどんな戦闘方法なの?」


「俺の場合は盾だ!里の家宝を持ってきた!ミスリル製のスクトゥム(盾)だ。これはオーリに改良してもらって盾だが殴れるようになってる、他にもハンマーが得意だな。ドワーフ族は身長が低いが体はがっちりしてる、敵の攻撃は構えた盾で跳ね返してくれるわ」


「なら模擬戦をしましょう」


朝練中のオリビアが話を聞いていたのか、こちらに話しかけてきた。


「おー良いぞ!オリビアのお嬢ちゃん、俺に向かって切り掛かって来い!盾術を見せるぞ!」


「怪我したら困るから木刀で行くわ」


クリスから木刀を受け取り構え、グローに向かい斬りかかる。


それをグローは見事に捌き、受け、押し返す。


「見事な盾捌き素晴らしいですわ」


オリビアがお見事!と言わんばかりに褒める。


剣技が得意ではない私からすると凄さがわからないがオリビアが褒めるなら凄い技術なんだろうな。


「オリビアのお嬢ちゃんもその若さで見事な剣技だ。まだまだ伸び代もあるな、これは将来が楽しみだな」


グローとオリビアは二人で戦闘技術について話し合ってる。

そうこうしてるうちに、ロンザが庭にやってくる。


「申し訳ない•••飲みすぎた•••ドワーフ族の酒の強さを甘く見てた•••」


「ロンザ大丈夫?無理なら明日にしよう」


「二日酔いは落ち着いたからもう大丈夫っす。早速作ってしまいましょ」


魔法使い総出で屋敷の空いているスペースに簡単な工房を作り、オーリに言われながら悪戦苦闘しながら炉を作る。


半日ほどで鍛治工房が完成。


「感謝」


「見事な魔法だー!こんなに早く出来上がるとはな!これで皆の武器も作れるようになるな。何か欲しい武器はあるか?オーリと俺で大概のものは作れるぞ」


「私は魔法がメインだからなぁ、剣も得意ではないし。私に合いそうな武器はあるかな?」


「初代賢者殿はドワーフ族が使った杖を使っていたと言い伝えられてる。俺たちの里は伝承を守って杖を作る技術を磨いている。二代目殿も杖を使ってみてはどうだ?オーリの技術なら良い杖を作ることが出来るぞ」


「杖ですか…杖術を覚えなきゃダメですね。上達しない剣よりは良いのかもなぁ」


「二代目殿は魔法を主に使うのであろう?それならば自衛をする目的で覚えれば良い。俺で良ければ教えるぞ?」


私はグローから杖術を習うことにした。初代様が使っていたと言われているなら覚えてみるのも良い機会だと考えた。


杖術を初めて数日後、オーリが私にスタッフ型の杖を作ってくれた。


また厨二病的デザインで…先端部分は軽い金属で補強してあるが思っているより重くない。何度か振ってみるが手に馴染む。


「オーリさん、ありがとう。手にしっくりと馴染むよ、使いやすそうだね」


「賢者の杖。ドワーフ族の技術の結晶」


「オーリよ、それじゃ伝わらんわ。初代賢者殿のために作った杖のデザインだ。初代賢者殿はそこに何やら石のようなものを埋め込んでいたと伝わっている。何の石を使っていたかはわからんが敵の攻撃を防ぐために様々な工夫が施されておる。早速使い方を教えるぞ!」


それからグローの特訓が続き、ヘトヘトになってしまう日々である


オーリは私達用にドワーフの技術をふんだんに使った防具を作り出してくれるのであった。


”私の物語に賢者の杖(仮)が加わる”

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