魔族出現 その後①

激動の辺境伯領を後にして王都へと戻ってきた。


閣下への報告に一度、不夜城こと閣下の政務室へお伺いしている。


現在は人払いをしてもらっている。


2人きりなのでフランクに話しかけてくれる閣下。


「その魔族というのは初代様が封印してたというのか!?リゼル坊」


「はい。初代国王陛下と初代賢者様とその仲間たちで封印をしていた魔族が復活しました。マンティコアと言う名の魔族は我々人間を家畜と言ってましたので人を襲う可能性が高いです。どこに逃げたのかもわからないのが現状ですが…」


「うむ…リゼルの賢者としての役割が出てきたということか…悪い予感が当たるのは嫌じゃのぅ。実際に魔族を目にしてどう思った?」


「初代様の本によれば魔族は死ぬことがない存在と書かれてあります。封印方法もわからないため、戦っていても勝てる気はしませんでした…正直、そこから逃げ出してくれなければ全滅していたと思います」


「封印方法か…聖剣が関係する可能性が高そうじゃな…初代陛下と15の仲間達か…」


「15人の仲間たちというのは何でしょうか?」


「王国の侯爵・伯爵家の先祖じゃよ。リゼルの実家のクリムロード家は元を辿ると初代陛下と賢者様の仲間であり家臣団であったのだ。王国建国後、それぞれ領地を与えられ発展していったのが我が国じゃな。それ以外にエルフ族とドワーク族の者もいたと伝わっておる。寿命の長いエルフ族ならば当時のことも覚えているものもおるかも知れんな。どれエルフの里とドワーフの里へ人を遣わしてみるか」


「何か当時の記録が残っていれば良いのですが…閣下、逃げた魔族はどうなされるおつもりですか?」


「諸侯には連絡は伝えてある。後手後手じゃが、魔族が行動を開始してから騎士団やを派遣するしかない状態だな。願わくはおとなしくしてて欲しいものだがな。リゼル坊よ、魔族が復活したということはお主の役目は魔族を封印することになる。陛下より後に勅令が下る予定だ。神童リゼルは今後はどうする予定だ?何か考えはあるか?」


「はい、今のままでは封印どころか相手にもなりません。単純ですが私の力量が追いついていません、まずはそこから見直したいと思います」


「魔族のことを考えると宮廷魔術師、師団長クラスを動かすことも難しくなるしのぉ…今のリゼル坊に教えれるレベルの魔法使いか…うむ、一人良い人物がおる。儂の師匠じゃ!まだ生きていると思うから手紙を書いて王都に来てもらおう」


「閣下の師匠ですか!?一体おいくつなんですか!?」 


「生きてれば80歳は超えてるな…生命力のとても強い御方なのできっと隠居先のどこかで魔術の研究をされてるはずじゃ。癖は強い御方じゃが火魔法の腕は今でも王国で一番のはずじゃ。師匠役としてはもってこいだな、見つけたらリゼル坊の屋敷へ行かせるとするわい」


「なんか凄そうな人ですね」


「会えばわかると思うぞ、実力は確かな御方だ、ははは」


王城を後にして屋敷へ戻る。


「ディー、初代賢者様のことを知っている人はエルフの里にいるかな?」


「長老なら知ってるとは思うけど、あの人忘れっぽいからなぁ〜」


「落ち着いたらエルフの里へ行ってみたいけど里の中に入れてくれるかな?」


「わたしがいるから大丈夫よ。エルフの里は王都から遠いから学校が休みのときじゃないと無理よ?」


「そうだね、休みが取れそうだったらエルフの里へ行ってみよう。今は情報を集めないとね」


「リゼルを連れて里帰りは楽しそうね。道中も楽しいしね、精霊達も喜ぶわ」


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