8歳 ロード辺境伯⑦
斥候部隊によると確認できているのは足の早いモンスターグループ、人型グループ、大型グループが確認できている。
最初に現れたのは足が速いウルフ系のモンスターが先頭を走り、その後にボア系が後を追う形で追従している。
魔術師団が土魔法で進路を妨害し土壁を発生させ激突させ進軍速度の低下を狙う。
あの速度で追突してきたら軽装の人たちは大ダメージをおってしまう。
城壁に近づいてきたところを工兵部隊が用いた罠を発動させ大多数のモンスターに被害を与える。
落とし穴に落ちた魔物達は上から槍によって絶命をする。速度の落ちた魔物たちは中央に控えた兵士達が長槍で対処をし始める。
第一陣のグループは数がそれほど多くないためか被害は少なめで終わる。怪我人も重傷者はいないようだ。
問題は数が多いとされている二陣のゴブリンが大半を占めるグループだ。
到達までに時間に少し余裕がある今のうちに騎士団は物資の補給を開始し、冒険者グループは投石用の石を運び出し始める。
工兵たちは用意してある拒馬や石を詰めた酒樽を奥から移動させ簡易のバリケード群を作り始め、土魔法使いたちは穴を掘り、壁を作りと大忙しだ。城壁の上も見習い騎士達がカタパルトやバリスタの準備に追われている。領内でも女性陣が炊き出しの準備を始めている。
モンスターの足音が近づき始める。所定の位置に配備をし待ち構える。
ゴブリンが隊列を乱さずに行軍をしている。指揮をする上位種が中にいそうだ。
フロイ卿の号令により一斉に攻撃が開始される。
城壁からカタパルト、バリスタによる攻撃が開始される。
火、風の魔術師たちが広域魔法を発動をし、騎士団は弓矢を放ち、冒険者たちは投石を開始する。
前方にいる大勢のゴブリンに被害を与える、半壊と言ったところだろう。
絶え間なく上空からの攻撃を与え続け、バリケードを構築したエリア近づいたところでクロスボウによる一斉射撃は何度も繰り返される。
バリケードを乗り越えたゴブリンは冒険者達によって葬られる。残りのゴブリンの数も少なくなっているのでこちら側の快勝と言ったところだ。
こちらの被害は少なそうだがモンスターの重い足音が近づいている。
防衛のための施設を用意することはできなさそうだ。
城壁の上から見てもわかる巨躯の集団が30体以上こちらに向かってきている。
「あれはオーガ?」質問する私に、リードが肯定をする。
先ほどと同じように先制攻撃をする。巨大な木の盾のようなもので上空からの攻撃から身を守るオーガの集団。
オーガー側の被害は少なそうだ。バリケードも巨躯に比例した膂力のおかげか軽々と破壊される。
このままでは下にいる人たちの被害が大きくなる。そう思った私は魔法の詠唱を開始する。
「”フェン” ”グリフ” 出てきて」 空間から二匹を呼び出す。
「”グリフ” 私を乗せて上空に舞い上がって」
グリフに跨ぎ、オーガを見下ろせる位置へと浮かび ”アイス・ランス”を詠唱する準備を開始する。
「”フェン” アイスランスを大きくできる?」
「笑止!」フェンがニヤっと犬歯を出しこちらに顔を向ける。
「集団の中央に向かって放つよ!オーガの数を減らそう! ”アイス・ランス”」
障害物がない上空から目下のオーガに向かい巨大な氷の槍を作成する。
”フェン”の氷の力が加わったアイスランスは氷の割れる爆音と共にオーガの大半を蹴散らす。
「追撃だ! ”サラマンダー” 力を貸して 二重詠唱 ”ファイアー・ランス”」
成長しているサラマンダーの火力が加わり、巨大な炎の槍が轟音と共にオーガに向かっていく。
私の氷と炎の魔法によってオーガの大半が瀕死もしくは大ダメージを負う。
それを見ていたフロイ卿が騎士団へと合図と号令をおくる。
「賢者リゼルが大魔法を使った!残されたオーガは残りわずかだ。我が辺境の騎士団よ、残りの魔物の首を刈りとれ!!」
命令が下され、騎乗している騎士達が馬を加速をしながらオーガに突撃をする。
歩兵の集団がその後を追いかけ瀕死のオーガに最後の一撃を食らわせていく。
オーガとの戦闘は短時間で終わった。
私が城壁へと舞い戻ると一斉に歓喜の声があがる。
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