8歳 成長②


2階へ移動、この階も平原ステージ。


スライムや一角兎が出てくるステージ。良い収入源になる一角兎の肉を求める成り立ての冒険者がちらほら見受けれる。グリフを見て驚愕の声が聞こえる。グリフに他の冒険者達がいるから走り回らないように指示をする。


「クリス、そこに立っててね。”ウォーターシールド” ”ウィンドシールド” これで防御力が上がるからね。モンスターの攻撃をもらわないように気をつけて練習してね」 


水と風の盾をクリスの胴体に纏わせる。クリスは槍と盾を構えて一角兎を探しに歩き出す。ロンザも兄貴分として一緒についていく。


グリフが私の服をクチバシでつまむ。何か私に意思を伝えてくる。


「え?グリフに乗れって??」


以前に乗馬の練習をしていた際にグリフは若干、不貞腐れていた。もしかして私が馬に乗っていたせいなのかな?


「わかったよ。乗るからちょっと待ってね。リード手伝って欲しい、私の身長だと一人でグリフに乗れないからお願い」


グリフが満足そうな顔で私の前でしゃがむ。グリフの大きさはポニーサイズ。この世界では立派な軍馬サイズだ。リードに補助してもらいながらグリフに騎乗する。


「グリフ、鞍がないからゆっくり動いてね。私はあまり乗馬が得意ではないからね」


グリフはコクリと頷き、ゆっくりと歩き出す。私を乗せているせいか機嫌が非常に良い。グリフが満足行くまで平原を散歩をする。


「グリフ、ディーとオリビアが心配してるから、そろそろ皆のところに戻ろうか。そうだ! 帰りに街でグリフ用の鞍を作りに行こうね。それなら次から安心してグリフに乗れるからね」


心配しているディーとオリビアのところへ戻り安心させる。


「リゼル、心配したよ〜あなた、そんなに乗馬上手くないでしょ〜」


「リゼル様、鞍もなければ安定はしませんので次回からはその乗り方はお勧めいたしません」


「グリフが私を落とさないように歩いてくれてるから大丈夫だったよ〜。グリフと約束したからあとで鞍は作りに行くよ。そろそろダンジョンを出たいからクリスのところに行こう」


クリスとロンザを探し出し皆で向かう。


クリスは盾をうまく使いながら一角兎の攻撃をいなしていた。


「”エイッ!”」槍を突き伸ばし絶命させていた。ロンザが”ヤッター”と拍手をしている。


「クリス。伸縮の槍をだいぶ使いこなしてるね。最後の一撃見事だったよ」


「リゼル様見てらっしゃったのですね。槍の方は少しずつですが慣れてきました。非力な僕には槍が伸びてくれることで強力な攻撃ができるようになってきました」


クリスを褒めていると、”一角兎倒したい” とグリフが私に伝える。


そうるするとグリフは駆け出して平原に一匹とこちらを見ている一角獣に、前足から鋭い爪を出し一撃で粉砕した。


「凄い…」 クリフが私の横で見て驚いている。


「グリフ、突然行ったらダメだよ!!」 


私はグリフを諌める。褒められると思ったグリフは思っていた反応と違い動揺している。


血まみれのグリフの前足を”ウンディーネ”と”シルフ”に頼んで綺麗にしてもらった。


「グリフが凄いのはわかってるよ。ただねいきなりだと心配になるからね、突然の行動はダメだよ。グリフも私が突然走り出したら驚くでしょ?」


ウンウンと首を振りながら頭を擦り付けてくる。理解してくれてるみたいだ。


しかし、グリフの一撃の攻撃力は凄いな…今度色々と試してみよう…


「さぁみんな帰ろう。馬具工房でグリフ用の鞍を発注しに行こう」


”私の物語にグリフの初騎乗が追加される”

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