8歳 貴族学校②

「やぁもぉ〜リゼル君の壁、全然壊れないんだけど…土魔法の壁ってこんなに硬くなるの!?」


私が作った土壁をマリーヌさんが攻撃魔法で破壊しようとするが中々破壊できない。やっと破壊できたころにはマナ不足で肩で息をする。


「土壁の硬さ、中級レベル」


「かなり硬い土壁ですね。マリーヌ嬢どうでしたか?」


「硬いってもんじゃないわ…私の攻撃魔法が全然通用しないんだもん…さすがリゼル君だわ」


「ちゃんと守れないと安心して攻撃できないからね、それに土壁はよく使うから」


「流石はA級冒険者ですね、実戦経験のある人の言葉ですね。マリーヌ嬢、これで我々が言っている意味が理解できましたか?」


「え?A級冒険者ってどういうこと!?実戦経験あるの!?」


「リゼル卿、未踏破ダンジョン攻略。最近話題」


「リゼル卿はマリーヌ嬢に話してなかったんですね。話題になってますよ、賢者様が未踏破ダンジョンを攻略してA級ランクに昇格したこと」


「特に話すことでもないですし…冒険者ランクもダンジョン入るために取得してますから」


「もしかして、リゼル君は水と土の混合魔法はもう使えるの??」


「はい、使えますよ ”マッドホール”」 近くに泥の穴を作り出す。


「凄い!わたくし、まだ出来ませんのに…一体どうやったら…」


「マリーヌ嬢、リゼル卿のお父上は宮廷魔術師をされていたクリムロード卿です。あの方も混合魔法の使い手で爆炎と言われていた御方です。早い時期から修行をされていたんだと思いますよ。焦らず日々の修行で魔法を覚えていきましょう」


納得できないマリーヌさんの頬が膨らむ。こういうところは貴族の子女とはいえ8歳の女の子だ。


「さぁ授業の続きです。しばらくの間は身を守る魔法をちゃんと覚えていきましょう」


初回の授業が終わった。きちんと身を守るための魔法から入るのは実践的で好感が持てる。知らなかった土魔法を覚えれたのは収穫だ。


教室に戻るまでのマリーヌさんの質問攻めから逃げることのほうが大変だった…


それから毎週の授業が続き半年ほど時が進む。魔法学は実践的な授業が少しずつ増えてきた。


「今日の授業は鬼ごっこ形式で行いましょう。追う側の魔法が鬼に当たれば交代というルールです。鬼側は防御魔法を使って逃げ続ける。最初はリゼル卿に鬼になってもらって、マリーヌ嬢に追ってもらいます。当てる魔法は威力が高いのは禁止、使える魔法は土と水魔法のみでお願いします」




早速、鬼なので逃げまくる。クリスの訓練に付き合ってるため、私もスタミナが付いている。マリーヌさんが撃ってくる魔法をウォールやアースボールで守っていく。数分後にマリーヌさんの体力切れで一旦中断。


「リゼル君の体力は一体どうなってるの!? 追ってる側が有利なのに私の方が先に動けなくなるなんて…」


「普段から走ったりして体力トレーニングしてるからね。今まで長時間の移動も多かったし、動けなくなったら皆の迷惑になるからね」


「リゼル卿に全部言われてしまいましたね〜。マリーヌ嬢、戦場で大事なのは体力です。魔法を鍛えるのと一緒に体力もつけていきましょうね」


「体力大事!」


「じゃー鬼を交代して、次はマリーヌ嬢に逃げてもらいましょうね」


マリーヌ嬢の声にならない声で「鬼〜!!!」と叫ぶのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る